シェフ・シャガリ

シェフ・シャガリ：ナイジェリアの激動の時代を生きた大統領

シェフ・ウスマン・アリユ・シャガリ（1925年2月25日 - 2018年12月28日）は、ナイジェリアの政治家であり、1979年から1983年まで同国の大統領を務めました。フラニ族のイスラム教徒であり、ソコト帝国の貴族という背景を持ちます。

生い立ちと教育

シャガリは、イギリス領北部ナイジェリアのソコト州シャガリ村で生まれました。カドゥナ大学（教員養成校）に進学し、当時の北部ナイジェリアでは数少ない高等教育を受けたエリートの一人となりました。卒業後は、ソコト中学校やザリア中学校で教師として教鞭を執り、科学、歴史、地理などを教えました。その後、アルグングに新設された小学校の校長に就任しました。

政治家への道

1930年代から北部ナイジェリアで始まった政治活動に、シャガリもカドゥナ大学在学中から関心を持つようになります。南ナイジェリアの新聞を読み、南部の政治運動にも精通していました。また、自身の出身地であるソコトのヤボ地区の開発にも強い関心を抱いていました。1946年にはソコトで政治団体を設立し、ソコト帝国の有力者の支持を得ました。1948年には、北部人民会議（NPC）が設立され、シャガリもその一員となりました。1959年にはソコト南西部から議員に選出され、政治家としてのキャリアを本格的にスタートさせました。

大臣職を経て大統領へ

1960年、シャガリは経済開発大臣に就任し、その後、総務大臣、労働大臣を歴任しました。しかし、1966年のクーデターでバレワ政権が崩壊すると、ソコトに戻り、農場経営とSokoto Native Authorityの評議員を務めました。1970年、ヤクブ・ゴウォン軍事評議会議長によって経済大臣に、次いで財務大臣に任命され、再び政治の舞台に戻ります。その後のムルタラ・ムハンマド、オルセグン・オバサンジョ両議長による民政移管の表明を受け、シャガリはナイジェリア国民党の候補として1979年の大統領選挙に出馬し、見事当選を果たしました。

大統領としての功績と失策

大統領就任後、シャガリはオイルブームによる豊富な資金を、工業、農業、住宅建設、運輸などの分野に投資する野心的なプログラムを推進しました。農業分野では「緑の革命」を支持し、大規模農業や機械化を推進しましたが、これは退役軍人らを利する結果となりました。工業分野ではデルタ製鉄所やアジャオクタ製鉄所計画に巨額の資金を投入しましたが、失敗に終わりました。これらのプロジェクトでは政府高官へのリベートが横行し、政治腐敗の一因となりました。

1981年からの原油価格の下落は、ナイジェリア経済に深刻な影響を与えました。シャガリは経済安定化計画を開始し、関税の引き上げや輸入ライセンスの制限によって政府支出を削減しようとしましたが、効果は限定的でした。

1983年の選挙では、選挙違反や宗教的対立、政治的暴力が横行する中でシャガリは再選を果たしましたが、世界的な石油価格の下落と相まって、国家財政はさらに悪化しました。1983年12月31日、ムハンマド・ブハリによるクーデターが発生し、シャガリ政権は崩壊しました。

人物像と評価

大統領就任以前は、穏やかで理想的な文民政治家として期待されていました。しかし、大統領就任後は、数々の国家的事業に失敗し、政治腐敗を招いたとして批判されました。2018年12月28日、アブジャで93歳で亡くなりました。

シェフ・シャガリは、ナイジェリアの激動の時代を生きた政治家として、その功績と失策は今もなお議論の対象となっています。

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