シェルター・レコード

シェルター・レコード：音楽史に輝くワークショップの軌跡

シェルター・レコードは、1969年から1981年まで存在したアメリカのレコードレーベルです。設立者は、ミュージシャンのレオン・ラッセルとレコード・プロデューサーのデニー・コーデル。彼らは、ロサンゼルスとラッセルの故郷であるオクラホマ州タルサに拠点を置き、ユニークな活動を展開しました。

概要：ワークショップが生んだ音楽

シェルター・レコードの特筆すべき点は、その独特な運営スタイルでした。教会を改装したレコーディング・スタジオを用意し、スタジオを利用するアーティストのための住居やその他の設備を提供することで、「ワークショップの雰囲気」を醸成しようと試みました。特に、タルサのチャーチ・スタジオは歴史的建造物である教会を使用しており、創造性を刺激する空間だったと言えるでしょう。

レオン・ラッセルは1976年までシェルターに在籍し、レーベルを牽引しました。その後、自身のレーベル「パラダイス・レコード」を設立。コーデルがシェルターの単独所有者となりました。現在、シェルター・レコードの商標は、チャーチ・スタジオのテレサ・ノックスが所有しています。

所属アーティスト：多様な才能の宝庫

シェルター・レコードは、レオン・ラッセル自身をはじめ、数多くの才能あるアーティストを輩出しました。そのラインナップは非常に多彩で、以下のようなアーティストが所属していました。

J・J・ケイル：タルサ・サウンドを代表するギタリスト、シンガーソングライター。
ドゥワイト・トゥイリー・バンド：パワーポップの先駆者。
ギャップ・バンド：R&B、ファンクバンド。
アラン・ガーバー
ジェシー・バリッシュ（ジェシー・ウルフ・アンド・ウィングス）
ドン・ニックス
フレディ・キング：ブルースギタリスト。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ：アメリカンロックを代表するバンド。
フィービ・スノウ：繊細な歌声を持つ女性シンガーソングライター。
リチャード・トーランス・アンド・ユーリカ
ウィリス・アラン・ラムジー
グリース・バンド

また、シェルター・レコードは、レゲエ界のレジェンド、ボブ・マーリーのアメリカにおける最初のシングル「Duppy Conqueror」をリリースしたことでも知られています。

配給の歴史：ロゴにまつわるエピソード

シェルター・レコードの配給は、時代とともに変遷を遂げました。当初はブルー・サム・レコードが担当していましたが、1970年から1973年の間はキャピトル・レコード/EMIが配給を担当。この時期、レーベルのロゴは赤地に反転したスーパーマンのロゴが付いた卵があしらわれたものでした。しかし、DCコミックスから商標権侵害で訴えられ、キャピトル/EMIとの配給契約が終了するまでの間、スーパーマンのロゴの部分を黒いバーで塗りつぶすという措置が取られました。その後、ロゴは卵に手描きで「S」の文字が描かれたものに変更されました。

1974年から1975年まではMCAレコード、1975年から1977年はABCレコードが配給を担当。ABCレコード時代には、土星の形をした輪の中にシェルターの卵があしらわれたロゴが使用され、レーベルの下部には擬人化した三日月のイラストが添えられました。

1977年、シェルターの配給は主にドゥワイト・トゥイリー・バンドのためにアリスタに移管されましたが、トム・ペティとJ・J・ケイルについてはABCが引き続き権利を留保しました。1979年にABCがMCAに売却された後もシェルターは活動を続けましたが、1981年にアリスタとの契約が終了し、レーベルは終焉を迎えました。

終焉後：音源の行方

シェルター・レコードの終焉後、音源はダンヒル・コンパクト・クラシックス（DCC）に買収され、いくつかのLPおよびコンピレーションが再発されました。1991年には、音楽出版物がロンドー・ミュージックに売却され、1993年にはキャピトル・レコード/EMIが音源を買収し、傘下のライト・スタッフが多くの作品を再発しました。ただし、トム・ペティとJ・J・ケイルのアルバムは含まれていません。これは、これらのアルバムの権利がそれぞれ異なる会社によって管理されていたためです。

英国では、1970年代末にアイランド・レコードがシェルターの作品を配給していました。

シェルター・レコードは、短い活動期間の中で、音楽史に大きな足跡を残しました。レオン・ラッセルとデニー・コーデルのビジョン、そして所属アーティストたちの才能が融合し、独自のサウンドを生み出したシェルター・レコード。その音楽は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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