シェルビー・アメリカン

シェルビー・アメリカン

シェルビー・アメリカン（Shelby American）は、キャロル・シェルビーによってアメリカで設立された自動車メーカーであり、特にレーシングカーの製造において知られています。キャロル・シェルビーは元レーサーで、レーシングドライバーから引退した後、自身の理想とするスポーツカーを作り上げるためにこの組織を設立しました。シェルビー・アメリカンは、フォード・モーターとの協力関係のもと、フォードのレーシングカーの開発やワークスチームの運営、さらには市販車の開発にも貢献し、その後不運にも解散を余儀なくされました。

キャロル・シェルビー

キャロル・ホール・シェルビーは自身のレーサーとしてのキャリアを経て、リバーサイド・レースウェイに「シェルビー・スクール・オブ・ハイパフォーマンス・ドライビング」を設立しました。この学校は次世代のレーシングドライバーを育成することを目的としており、ここでのインストラクターにはゼネラルモーターズ出身のピート・ブロックが名を連ねました。当時アメリカにはヨーロッパ製のスポーツカーと対抗できる性能を持つ車両が少なく、キャロルは安価で信頼性が高く、高性能な車を作ることを目指し、これが後のACコブラへと繋がって行きます。

ACコブラ

1961年、イギリスのACカーズはエンジン供給が打ち切られる決定を受け、自社のモデル「エース」に適したエンジンを探す必要が生じました。この状況を受けてキャロル・シェルビーはACカーズに接触し、自社用の車両生産を依頼しました。フォードの新型フェアレーン221V8エンジンを基にして、ACカーズでの車両製作が始まりました。AEエンジン搭載のシャシーは強化され、1962年にはコブラの初号車CSX0001が完成し、シルバーストーンでのテストが行われました。その結果は良好で、米国へ運ばれ、フォードとのエンジン供給契約が成立しました。この契約により、シェルビー・アメリカンはフォードからのエンジン、トランスミッション、その他の部品を受け取ることができました。

コブラの初期の挑戦

コブラの初期モデルはレースに向けて開発され、1962年には初のレースに挑みますが、期待通りの結果には至りませんでした。この時の経験を経て、コブラは次第にレースカーとしての地位を築いて行きます。1963年にはレースドライバーケン・マイルズの加入があり、彼のサポートも受けて多くのレースでの成功を収めました。

シェルビー・デイトナ

シェルビー・アメリカンは1964年にはデイトナ・コブラの成功を受け、さらにパフォーマンスを向上させる新たな計画に取り組みました。その結果、空気抵抗を減らすために新たなクーペボディが開発され、「シェルビー・デイトナ」と名付けられました。この新型車両は1965年にGT選手権での勝利を果たし、シェルビー・アメリカンの名声を高めました。

フォードとの関係とレースでの成功

シェルビーはフォードとの強力な協力関係を築き、特に1966年のル・マン24時間レースではフォードGTの1-2位フィニッシュに大きく貢献しました。しかしこの成功の裏には、彼の右腕的存在だったケン・マイルズの死という悲劇もありました。1967年以降、シェルビー・アメリカンは徐々に生産体制に移行し、レース活動は低調となりました。

シェルビー・アメリカンの終焉

キャロル・シェルビーは、フォードとの関係が変化する中で自らのビジョンに対する熱意を失い、1969年にはシェルビー・アメリカンの活動を終了する決断を下しました。フォードも独自にスポーツカーをリリースするようになり、シェルビー・アメリカンの必要性は薄れていきました。最終的にキャロルはフォードにコブラの商標権を1ドルで譲渡し、シェルビー・アメリカンは歴史の1ページを閉じました。

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