シェルビー・スーパーカーズ・トゥアタラ

SSCノースアメリカ・トゥアタラ：驚異のハイパーカー

2019年、アメリカのSSCノースアメリカ社から販売が開始されたSSCノースアメリカ・トゥアタラ。その開発には、幾多の困難と革新が凝縮されています。本稿では、トゥアタラのデザイン、メカニズム、そして記録的な性能について、詳細に探ります。

誕生秘話と命名の由来

トゥアタラの開発は、SSCの以前のモデルであるアルティメットエアロの後継車として、2010年に発表されました。当初は「SSC Ultimate Aero TT II」という仮称で呼ばれていましたが、後にニュージーランドに生息するムカシトカゲ、「トゥアタラ」にちなんで命名されました。「トゥアタラ」はマオリ語で「背中の棘」を意味し、車体後部の独特なリアスポイラーのデザインに由来しています。また、急速な進化を遂げるトゥアタラのように、アルティメットエアロからわずか3年で、性能、デザイン、空力特性を大幅に向上させたという意図も込められています。

洗練されたデザインと先進技術

トゥアタラのデザインは、ジェイソン・カストリオタ氏の手によるものです。フェラーリやマセラティといった名車のデザインも手がけた彼の才能が、トゥアタラの美しいフォルムに凝縮されています。滑らかな曲線とシャープなエッジが織りなすボディは、大きく開口したフロントインテークやキャノピー型のコックピット、独特なヘッドライトとテールライトなど、細部までこだわり抜かれています。インテリアもエクステリアとデザインコンセプトを共有し、ヘッドアップディスプレイによる情報表示も可能です。

圧倒的なパワーと軽量化

トゥアタラ最大の特長は、そのパワートレインです。独自開発の6.9L V型8気筒ツインターボエンジンは、9200rpmという驚異的な許容回転数を実現し、最高出力1350bhp、最大トルク1736Nmを発生させます。さらに、インタークーラーを含めたエンジン単体の重量を194kgにまで軽量化することで、優れたパワーウェイトレシオを実現しています。

トランスミッションは7速H型マニュアルと、オプションのパドルシフト付きセミオートマチックから選択可能です。ブレーキシステムは、カーボンセラミック製スロット＆ベンチレーテッドディスクブレーキを採用し、15インチの大径ローターと高性能キャリパーによって強力な制動力を発揮します。ボディコンポーネントにはカーボンモノコックやアルミニウム製クラッシュストラクチャーが用いられ、車重は1247kgに抑えられています。その結果、パワーウェイトレシオは1083bhp/tという驚異的な数値を達成し、フォーミュラカーに匹敵するパフォーマンスを実現しています。

記録的な性能と販売

トゥアタラは、0-60mph加速2.5秒、0-400m加速9.75秒、最高速度276mph（約444.4km/h）という驚異的な性能を目標に開発されました。そして2020年、ネバダ州の公道で、508.73km/hという驚異的な最高速度を記録し、市販車初の500km/h超えを達成しました。この記録は、ギネス世界記録への挑戦として注目を集めています。

開発には資金難による遅延もありましたが、2018年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスでプロトタイプが公開され、2019年に量産が開始されました。ドバイ国際モーターショーでは10台を受注するなど、世界中から注目を集めているハイパーカーです。

まとめ

SSCノースアメリカ・トゥアタラは、その圧倒的な性能と洗練されたデザインによって、ハイパーカーの世界に新たな基準を打ち立てました。開発には多くの困難がありましたが、SSCノースアメリカ社の技術力と情熱によって、世界を驚嘆させる一台が誕生しました。その記録的な性能と、未来への挑戦は、自動車史に新たな一ページを刻んでいると言えるでしょう。

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