シェルブール襲撃

シェルブール襲撃：七年戦争におけるイギリスの奇襲作戦

シェルブール襲撃は、七年戦争中の1758年8月にイギリス海軍がフランスのシェルブール＝オクトヴィルを攻撃した作戦です。これは、イギリスがフランス沿岸を襲撃し、フランス軍を牽制することで、同盟国への圧力を軽減しようとした戦略の一環でした。

背景

1757年以降、イギリスは海軍の優位性を利用し、フランス沿岸を襲撃することでフランス軍をドイツから引き離し、プロイセン王国などの同盟国を支援する戦略を採用しました。同年秋にはロシュフォール襲撃が行われましたが、町の占領には至りませんでした。1758年、同盟軍の退却を受けて、ブラウンシュヴァイク公がイギリスに襲撃を要請。イギリスはこれに応じ、海軍大臣アンソン男爵が遠征軍を編成し、サン・マロ襲撃を成功させました。この成功を受け、イギリスはさらなる襲撃を計画し、ヨーク・オールバニ公エドワード・オーガスタスが遠征に参加することになりました。

襲撃の実行

イギリス陸軍はトマス・ブライ中将、海軍はリチャード・ハウが指揮を執りました。遠征軍はノルマンディー沿岸の港を脅かした後、8月7日にシェルブール沖に到着。天候にも恵まれ、ウルヴィル＝ナックヴィルへの上陸は成功し、シェルブールの守備軍を破って同市を占領、砦と港を破壊しました。イギリス軍は上陸から1週間後の8月16日に撤退しました。

襲撃の影響

シェルブール襲撃の成功はイギリスの士気を大いに高め、新聞では百年戦争以来の成功と報じられました。立案者のウィリアム・ピットは、この成功を受けて更なる襲撃を主張しました。しかし、9月に行われたサン・マロ占領作戦は天候が悪く、一部の兵しか上陸できず、フランス軍の反撃に遭い失敗。サン＝カスの戦いでブライはなんとか上陸軍を撤退させましたが、イギリスはその後、襲撃作戦を中止し、ドイツでの直接対決へと戦略を転換しました。

この襲撃はフランスの士気を低下させ、フランス本土がイギリス海軍の脅威に晒されていることをフランス人に強く意識させました。フランスはイギリス本土への侵攻を計画しますが、海戦での敗北により実現には至りませんでした。

参考文献

Anderson, Fred. Crucible of War: The Seven Years' War and the Fate of Empire in British North America, 1754-1766. Faber and Faber, 2001.
Middleton, Richard. The Bells of Victory: The Pitt-Newcastle Ministry and the Conduct of the Seven Years' War, 1757-1762. Cambridge University Press, 1985.
Rodger, N. A. M. The Command of the Ocean: A Naval History of Britain, 1649-1815. Penguin Books, 2006.
Simms, Brendan. Three Victories and a Defeat: The Rise and Fall of the First British Empire. Penguin Books (2008).

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