シカゴ5

アルバム『シカゴ5』の概要

『シカゴ5』（原題：Chicago V）は、1972年にアメリカのロックバンド、シカゴがリリースした4作目のスタジオアルバムです。本作は、バンドにとって初の1枚もののアルバムとして登場し、過去の2枚組のアルバムを経て、よりコンパクトで効率的な作品作りに挑戦しました。

制作の背景

このアルバムは、1971年に発表された『シカゴ3』の後を受けて制作され、2枚組からシングルアルバムへと転換する試みがなされました。多くの曲がロバート・ラムによって書かれており、全10曲中8曲が彼の作品です。また、テリー・キャスが作曲した「アルマ・マター」では、彼のアコースティックギターの腕前も披露されています。一方、ベーシストのピーター・セテラは曲の提供はなかったものの、ヴォーカルとベースを担当し、一部ではワウワウペダルも使用しました。

録音は1971年9月に行われましたが、アルバムのリリースは延期され、1972年夏になりようやく世に出ました。発売に先立ってシングル「サタデイ・イン・ザ・パーク」がリリースされ、これは彼らの大ヒット曲となりました。アメリカのビルボードで3位まで上昇し、シカゴの名前を一躍有名にしました。アルバム自体も批評家に好評を得て、1972年のヒットアルバムの中でも突出した存在となり、米国内でチャートの1位を獲得しました。

ヒットシングルとアルバムの成果

続けてリリースされたシングル「ダイアログ・パート1&2」もまた、アメリカの音楽チャートでトップ30入りを果たしました。特にこの曲はバンドの特徴であるソウルフルなメロディと深いリリックが評価されました。

2002年にはリマスター盤がリリースされ、ボーナストラックとして異なるバージョンの楽曲が追加されました。これには、「アット・カーネギー・ホール」で初めて演奏された「リチャードと彼の友人達のための歌」のリハーサル版や、キャスの「ミシシッピ・デルタ・シティ・ブルース」が含まれています。また、アルバムの発表から約40年後の2011年には、ハイブリッドSACD版も登場しました。

収録曲とアーティスト

本作には、ピーター・セテラ、テリー・キャス、ロバート・ラム、リー・ロックネイン、ジェイムズ・パンコウ、ウォルター・パラゼイダー、ダニー・セラフィンなど、各メンバーが多彩な楽器を駆使して参加しています。音楽スタイルは、ロックを基盤にしたものでありながら、ジャズやソウルの要素も取り込まれています。

アルバム『シカゴ5』は、シカゴの音楽の進化において重要な節目となった作品であり、その音楽的影響は今なお多くのミュージシャンに受け継がれています。シカゴが持つ独特なサウンドとメロディは、当時の音楽シーンに新風を巻き起こしました。

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