テリー・キャス

テリー・キャスの生涯

テリー・キャス（Terry Alan Kath、1946年1月31日 - 1978年1月23日）は、アメリカ・イリノイ州出身のロック・ミュージシャンで、特にブラス・ロックバンド「シカゴ」の創立メンバーとして知られています。彼はギタリストとしてだけでなく、ソングライターやヴォーカリストとしても活躍しました。32歳という若さで非業の死を遂げるまで、その音楽キャリアは多くのファンに愛されました。

音楽キャリアの始まり

テリーは中西部イリノイ州で両親が経営するロッジに生まれ、幼い頃から多くの楽器に親しんでいました。バンジョーやアコーディオン、ドラムを取り扱い、その後、ギターに魅了されるようになりました。彼はザ・ベンチャーズやジョージ・ベンソンなどの影響を受け、マルチプレーヤーとしての才能を磨いていきました。

彼は親友のウォルター・パラゼイダー、ダニー・セラフィンと共に「ザ・ミッシング・リンク」というバンドを結成するための活動を開始しました。パラゼイダーのアパートを練習場として、様々な楽器を用いながらひたむきに音楽に取り組みます。その後、トロンボーン奏者ジェームズ・パンコウ、トランペッターリー・ロックネイン、さらにはキーボード奏者のロバート・ラムと一緒に「ザ・ビッグ・シング」を結成しました。

シカゴの誕生と活動

「ザ・ビッグ・シング」は後にヴォーカル兼ベースのピーター・セテラを迎え、その後コロムビア・レコードと契約。1969年にはコミュニティの中で悪名高きバンド―シカゴ・トランジット・オーソリティとしてデビューアルバム『シカゴの軌跡』を発表しました。1970年にはバンド名をシカゴに変更し、彼らの音楽は瞬く間に人気を集めました。テリーはギタリストとしてだけでなく、コーラスやソングライティングにも積極的に関わりました。

彼が在籍中のシカゴは、「長い夜」「サタディ・イン・ザ・パーク」などの名曲を次々と発表し、多くのリスナーに影響を与えました。キャスはまた、ワウペダルなどのエフェクターを駆使し、その特徴的なサウンドでファンを魅了しました。

不運な事故とその影響

しかし、彼の人生は1978年、運命的な事故によって終わりを迎えます。1月23日に、友人たちと集まったパーティーでふざけ半分に弾丸の入っていないリボルバーに触れ、ロシアン・ルーレットを試みた場面で発生しました。周囲の人々が危険を警告しましたが、彼は自信たっぷりに「心配ない」と発言し、結果的に一発の実弾が引き金を引かれ、彼の命を奪うことになりました。この悲劇的な出来事は、仲間たちだけでなく音楽界全体に衝撃を与えました。

遺産と映像作品

2016年には彼の遺族であるミッシェル・キャス・シンクレアが監督したドキュメンタリー映画「The Terry Kath Experience」が公開されました。この作品では、シカゴの現・元メンバーたちが参加し、テリーの音楽人生や人柄を振り返り、その影響を再確認する内容となっています。

テリー・キャスの音楽は、今なお多くのリスナーに愛され続けており、彼がシカゴにもたらした影響は永遠に色あせることのないものです。

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