シキリア属州

シキリア属州：ローマ帝国最初の属州、その歴史と変遷

シキリア属州（ラテン語: Provincia Sicilia）は、共和政ローマが紀元前241年に初めて設置した属州であり、現在のイタリア領シチリア島とマルタ島をその領域としていました。シチリア属州は、ローマの歴史において重要な役割を果たしました。

成立の背景と属州化

シキリア属州の成立は、第一次ポエニ戦争の結果としてカルタゴを破ったローマが、その勢力を拡大する過程で生まれました。当時、シチリア島は地中海の戦略的要衝であり、ローマにとってその支配は不可欠でした。属州化当初、有力都市であったシラクサは同盟都市として除外されていましたが、第二次ポエニ戦争でカルタゴ側についたため、包囲戦の末に属州に組み込まれました。

ローマの穀倉地として

シキリア島は、かつてマグナ・グラエキアとしてギリシア文化が栄えた地でしたが、属州化以降は徐々にラテン化が進みました。しかし、ギリシア的要素が完全に消えることはありませんでした。当初、シキリアはローマにとって重要な小麦の供給地でしたが、エジプトを支配下に置くとその重要性は低下しました。しかし、ローマ帝国後期には再び穀倉地として重視されるようになります。

奴隷反乱の舞台

属州化後、シキリアでは奴隷を使った大土地経営による小麦栽培が盛んになりました。過酷な労働条件から、奴隷たちはたびたび反乱を起こし、共和政ローマ期には3度の大規模な奴隷戦争のうち、2度がシキリア属州内で発生しました。紀元前135年にはエウヌスが率いる第一次奴隷戦争、紀元前104年には第二次奴隷戦争が勃発し、ローマを悩ませました。

シキリア属州の変遷

以下にシキリア属州の主な出来事を年表形式でまとめました。

紀元前264年～241年：第一次ポエニ戦争
紀元前241年：シチリア島とマルタがローマに併合され、シキリア属州成立
紀元前219年～201年：第二次ポエニ戦争
紀元前214年～212年：シラクサ包囲戦、ローマが勝利しシラクサが属州に
紀元前135年～132年：第一次奴隷戦争
紀元前104年～100年：第二次奴隷戦争
紀元前73年～71年：ガイウス・ウェッレスによる悪政
紀元前49年：ローマ内戦でカエサル派がシチリアを奪取
紀元前44年～36年：シケリア戦争
紀元前36年：ナウロクス沖の海戦、オクタウィアヌスがポンペイウス派を撃破
440年：ヴァンダル族によりヴァンダル王国に併合

属州内の主要都市

シキリア属州には、以下のような都市がありました。

シラクサ
メッサナ（現メッシーナ）
アグリゲントゥム（現アグリジェント）
* パノルムス（現パレルモ）

シキリア属州は、ローマの歴史において重要な役割を果たした地域であり、その歴史は複雑で多岐にわたります。この地で起きた出来事は、ローマの政治、経済、社会に大きな影響を与えました。

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