シクドゥル

シクドゥルの歴史

シクドゥル（モンゴル語: Шударга Šikdür、中国語: 勢都児、生没年不詳）は、チンギス・カンの弟であるジョチ・カサルの孫で、モンゴル帝国の皇族に属していました。彼に関する情報は、ペルシア語の史料『集史』や他の碑文で記録されており、いくつかの表記法が存在しています。特に『元史』では「失都児」として言及されており、これは叛乱に関わったことに対する批判を含んでいると言われています。

シクドゥルの生涯と叛乱

シクドゥルは、チンギス・カンの直系の子孫であり、カサル家の当主としての地位を確立していました。彼の生誕時期ははっきりせず、至元年間（1260年から1368年）の20年代までにはカサル家の当主となっていたと言われています。

至元24年（1287年）、クビライ・カアンの政策に dissatisfaction（不満）を抱いたオッチギン家のナヤンが反乱を起こします。これにシクドゥルやカチウン家のシンナカルも同調し、彼らは共に叛乱に参加しました。シクドゥルの軍隊はナヤンの本隊とは別行動を取り、遼寧平原で戦いを挑む形で動きました。彼らは遼河流域の重要な拠点である咸平府（現在の開原市）を経由して、さらなる南下を目指しました。

この時、現地の守備兵は守りが手薄であるとされ、クビライに援軍を要請しました。それに応じて、諸衛軍とモンゴル軍の部隊が派遣されました。ナヤンの反乱を鎮圧するための軍が組織され、シクドゥルはクビライの庶子アヤチと対峙しました。

シクドゥルの軍は、女直人との連携によって一時的にアヤチの部隊を退けることに成功し、捕虜を得る寸前まで追い詰めますが、タチュの活躍により逃がしてしまいます。結果、同年6月にはクビライ自身が率いる本隊がナヤン本隊を破り、ナヤンを捕らえて処刑することに成功しました。これによってシクドゥル軍はその勢いを失い、7月にはアヤチの部下が進軍し、シクドゥルの軍隊は完全に制圧されました。

叛乱後のシクドゥルの運命

ナヤンの叛乱が鎮圧された後、クビライは東方三王家を全て壊滅させることはせず、各王家の当主を変更して存続させる選択をしました。この結果、シクドゥルの後任としてその子バブシャがカサル家の当主とされました。『集史』ではシクドゥルが処刑されたと伝えていますが、至元29年（1292年）には金1000両を授からせた記録もあり、彼はその後も有力者として扱われた可能性があります。

シクドゥルの子孫

シクドゥルには3人の息子がいたと言われていますが、具体的には斉王バブシャ、ビリグ大王、コンゴル王の名前のみが伝わっています。バブシャには息子がいなかったため、コンゴルの子孫が後にカサル家の後を継ぐことになります。シクドゥルの娘、イェルゲン公主は、フーシン部のボロクル家の当主タラカイに嫁いでおり、この結婚が家系を通じたさらなるつながりを生んだと言われています。

全体として、シクドゥルの生涯や家族についての情報は断片的であり、詳細な事跡は明らかではありませんが、彼の名前はモンゴル帝国の歴史において重要な存在であったことが窺えます。

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