シシヨツカ古墳

シシヨツカ古墳

シシヨツカ古墳（ししよつかこふん）は、大阪府南河内郡河南町加納に存在し、古墳時代の終末期に属する方墳です。この古墳は、農業地の整備に伴って行われた調査によってその存在が確認され、発掘の結果、その歴史的価値が明らかになりました。周囲にはツカマリ古墳やアカハゲ古墳などが点在し、共に平石古墳群を形成しています。

調査の経緯

2001年から始まった大阪府教育委員会による試掘調査では、111箇所の試掘坑が設けられました。特に注目されたのは、No.62試掘坑での成果で、現地表下1.25メートルの地点で天井石二石と版築状の盛土層が確認され、これによりシシヨツカ古墳の存在が確定しました。その後、2002年から本格的な調査が開始され、墳丘や石室、周濠など、様々な構成要素が発見されました。

墳丘の設計と特性

シシヨツカ古墳は、3段に築かれた横長の方墳であり、高さは約4.7メートルです。墳丘の第1段部分の大きさは、南北に25.5メートル、東西に34メートルです。墳丘の周囲は周濠で囲まれており、その幅は北側が8メートル、南側が5.5メートル、西側が8.5メートルと、多様な特徴を持っています。

石室の構造

切石を積み上げた横穴式石室は、奥室、前室、羨道から構成されており、全長は約12メートルに達します。この石室は、奥室においては右側壁が2.47メートル、左側壁が2.6メートルと、非常に規則的な形状をしています。奥室と前室はすべて花崗岩の切石を使い、天井石は奥室と前室にそれぞれ一枚ずつ残存していますが、元々は二枚の構造だったと考えられています。

出土品の解析

石室の内部からは、装身具や武器、土器などが出土しましたが、ほとんどは攪乱されて破片の状態で見つかっています。具体的には、銀製の空玉や金銅製の小環、刀装具の破片など、様々な工芸品が含まれています。特に、武器類では鉄刀や刀子の破片が多く見つかり、軍事的な利用の痕跡も伺えます。また、棺材は漆塗籠棺の破片が出土し、土器は6世紀後半から6世紀末にかけてのものであることが分かりました。

造営者の考察

シシヨツカ古墳の造営者に関する情報は不足しているものの、周囲の古墳と比べて大規模であることから、重要な氏族が関与していた可能性があります。蘇我氏が候補として挙げられていますが、現在のところ、他の氏族が関与していた可能性も考慮する必要があります。特に大伴氏は南河内地方でも勢力を持っていたとされています。

参考文献

• - 枡本哲・森川祐輔「シシヨツカ古墳」『加納古墳群・平石古墳群』
• - 上林史郎「平石古墳群の被葬者像」

このように、シシヨツカ古墳はその独特な構造や出土品を通じて、古墳時代末期の文化や社会について多くの情報を提供し、今後の研究にも重要な資料となることでしょう。

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