シシリー・メアリー・バーカー

シシリー・メアリー・バーカー：花の妖精たちの創造主

シシリー・メアリー・バーカー (1895-1973) は、イギリスを代表する挿絵画家にして児童文学作家です。彼女の代表作である「花の妖精（フラワーフェアリー）」シリーズは、世界中で愛され続けている名作です。

幼少期と才能の開花

1895年、ロンドン近郊で生まれたシシリーは、幼少期にてんかんを患っていました。そのため、彼女は家庭で教育を受け、読書と絵を描くことに多くの時間を費やしました。この静かな環境が、彼女の豊かな想像力を育んだのかもしれません。彼女の才能は早くから開花し、水彩画の心得のある父親から指導を受けました。13歳でクロイドン芸術協会に出展するなど、早くから才能を開花させました。しかし、父親の早逝により、一家は経済的に苦しい状況に陥ります。

「花の妖精」シリーズの誕生

第一次世界大戦後の1917年頃から、シシリーは「花の妖精」の創作を始めました。植物の正確な描写と、生き生きとした子供たちの姿を見事に融合させた彼女の作品は、たちまち人々の心を掴みました。近所の子供たちをモデルに、花びらでできた衣装を着た、蝶やとんぼの羽根を背中につけた妖精たちを描きました。1923年、彼女の作品はついに出版社ブラッキー社によって出版され、大成功を収めます。

その後、彼女は「春」「夏」「秋」「道ばた」「庭」「樹」「アルファベット」をテーマにした7巻の「花の妖精」シリーズを発表しました。1985年には、「冬」をテーマにした8巻目が出版され、シリーズは完成を迎えました。これらの作品は、詩と絵画が一体となった、独特の世界観を作り出しています。

多彩な作品

シシリーは「花の妖精」シリーズ以外にも、多くの作品を残しています。白鳥と少女の友情を描いた『いぐさ川の王』や、聖歌や詩の挿絵、教会のパネル画など、その活動は多岐に渡ります。敬虔なクリスチャンでもあった彼女は、宗教的な作品も多く手掛けています。また、ポストカードやグリーティングカードの挿絵も手がけ、幅広い人々に親しまれていました。

晩年

晩年は、親しい友人たちの死や、母親の死など、多くの悲しみを経験しました。しかし、彼女はクロイドン芸術協会の副会長を務めるなど、精力的に活動を続けました。1973年、77歳で生涯を閉じました。

シシリーの画風

シシリーの描く花の妖精たちは、植物の正確な描写と、子供たちの自然な表情が特徴です。幻想的でありながらリアリスティックな彼女の作品は、ラファエル前派の影響も感じさせます。特に初期の作品である「プリムローズの花の妖精」は、家政婦の少女をモデルに描かれ、花の妖精の世界観を見事に表現しています。

作品リスト

彼女の主要作品を以下に示します。

『春の花の妖精』
『夏の花の妖精』
『秋の花の妖精』
『道ばたの花の妖精』
『庭の花の妖精』
『樹の花の妖精』
『花の妖精のアルファベット』
『冬の花の妖精』
『いぐさ川の王』
その他多数の詩画集、挿絵作品

日本での人気

日本では、チョコレートのおまけに付いていたミニチュアカードの絵などで、シシリー・バーカーの花の妖精は広く知られています。彼女の作品は、今もなお多くの人々の心を魅了し続けています。 彼女の作品は、子供たちの純粋な心を表現し、自然への愛と敬意を伝える、永遠の名作と言えるでしょう。

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