シスコはロック・シティ

スターシップの代表曲「We Built This City」：制作からメディア展開、カバーまで

1985年、スターシップによって世に送り出された「We Built This City（邦題：シスコはロック・シティ）」は、アメリカの音楽史に名を刻む一曲となりました。本楽曲は、バンドのデビューシングルとして発表され、アルバム『フープラ』に収録。Billboard Hot 100で堂々の1位を獲得し、翌年にはグラミー賞最優秀ロックパフォーマンス部門（デュオまたはグループ）にもノミネートされる快挙を成し遂げました。

華麗なる制作陣と、議論の的となった歌詞

この楽曲の制作には、グラミー賞受賞プロデューサーであるビル・ボトレルがエンジニアリングを担当。アレンジはボトレルとジェイスン・マーツの共同作業によって生み出されました。ボーカルには、スターシップ初期メンバーであるミッキー・トーマスとグレイス・スリックが参加。印象的な間奏のDJボイスは、MTVの経営者で元DJのレス・ガーランドが担当しています。さらに、ジャム・クリエイティブ・プロダクションズによってジングル化され、テキサス州ダラスなど複数のラジオ局で活用されました。

歌詞に関しては、トーマスとスリックの間で活発な議論が交わされたと伝えられています。楽曲後半の間奏部分で登場するDJボイスが示唆する「湾岸の街」「あのロックの街」「あの眠らない街」は、それぞれサンフランシスコ、クリーブランド、ニューヨークを指していると言われています。これらの都市への言及が、歌詞全体に深みと多層的な解釈を与えていると言えるでしょう。作詞は、エルトン・ジョンの盟友であるバーニー・トーピンとマーティン・ペイジが共同で手掛けました。

多方面での活用：テレビ番組からゲームまで

「We Built This City」は、そのキャッチーなメロディーと力強いサウンドから、幅広いメディアで活用されてきました。日本では、1980年代後半にはテレビ朝日のアークヒルズ、アーク放送センターのキャンペーンソングとして番組オープニングとクロージングで使用されました。また、2007年から2009年にかけては、フジテレビ系列のワイドショー番組「情報プレゼンター とくダネ！」のオープニングテーマ曲として親しまれました。さらに、ゲームソフト「グランド・セフト・オートV」の次世代機版とPC版に追加されたラジオ局でも使用され、世界中のゲーマーにも広く認知される存在となりました。近年では、宝酒造のチューハイ「直搾り」のCMソングとしても起用されています。

新たな解釈：カバーバージョン

「We Built This City」は、オリジナルバージョンのみならず、様々なアーティストによってカバーされています。NHK教育テレビの番組「天才てれびくんシリーズ」内の音楽コーナー「ミュージックテレビくん」では、2003年度に「ぼくらのロック・シティ We built this city」というタイトルでカバーされました。タケカワユキヒデによる日本語詞、そして「ザ・ヤマチーズwithふたりいる。」（山元竜一、村田ちひろ、俵小百合、岩井七世）による歌唱で、新たな解釈が加えられています。

時を超えて愛される一曲

数々の賞にノミネートされ、多様なメディアで活用され、カバーも存在する「We Built This City」。この楽曲は、単なるヒット曲にとどまらず、時代を超えて人々の心に響き続ける普遍的な魅力を備えています。その制作過程から、メディアでの使用例、カバーに至るまで、あらゆる側面からこの名曲を紐解くことで、その魅力をより深く理解することができるでしょう。

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