システム10 (ゲーム機)

エポック社「システム10」：1970年代の家庭用ゲーム機

「システム10」は、株式会社エポック社が1977年に発売した家庭用テレビゲーム機です。このゲーム機は、当時としては珍しいラケットゲームと光線銃ゲームという2種類の異なるジャンルのゲームを内蔵しており、合計10種類のゲームを楽しむことができました。

特徴

システム10の最大の特徴の一つは、付属のパドルコントローラーが4つ用意されている点です。これにより、ラケットゲームでは最大4人までの同時プレイが可能となり、家族や友人たちと一緒になってゲームを楽しむことができました。また、パドルコントローラーは2軸移動にも対応しており、より複雑な操作も可能でした。

光線銃ゲームでは、ドイツの大型拳銃モーゼルを模した形状の光線銃を使用します。さらに、肩パッド付きのケースを取り付けることで、ライフル型に変更することも可能でした。これにより、より本格的な射撃ゲーム体験を味わうことができました。

販売価格は、本体のみで9,800円、光線銃とACアダプター付きのセットで15,000円でした。後に、カラーリングを変更し価格を抑えた「システム10-M2」も発売されました。

ハードウェア

システム10のハードウェアは、当時としては珍しくCPUを使用していません。NECと共同開発した専用のLSI（大規模集積回路）によって、ゲームの処理が行われていました。エポック社が2年前に発売したテレビテニスでは、複数の電子部品（ディスクリート）を組み合わせてゲームが作られていましたが、LSI化によって部品数を大幅に削減し、高集積化を実現しました。これにより、信頼性の向上、高機能化、そして低価格化が可能になりました。

一方で、機能がワイヤードロジックによって実装されていたため、CPUを使用したプログラムによる実装に比べて、設計や変更は容易ではありませんでした。そのため、商品化には多くの時間を要しました。なお、システム10の機能をコンピュータプログラムで実装した「スーパー10」という機種も開発されましたが、最終的に商品化には至りませんでした。

内蔵ゲーム

システム10には以下の10種類のゲームが内蔵されていました。

ピンポン
ワンマンゲーム
テニス（シングルス）
テニス（ダブルス）
ボレーテニス
ハンディキャップテニス
サッカー
ハンディキャップサッカー
フリーライフル
クレー射撃

これらのゲームは、シンプルな操作で誰でも楽しめるように設計されており、当時としては多様なゲーム体験を提供していました。なお、移植作品はありません（カセットビジョンの『ビッグスポーツ12』は別物です）。

市場の反響

システム10の発売直前には、任天堂からより低価格のカラーテレビゲームが発売され、市場に大きな衝撃を与えました。システム10の開発中であったエポック社は、この事態に対してコメントを控えていましたが、結果的に本体のみのモデルはカラーテレビゲーム6と同じ価格で発売されました。

この出来事により、日本の家庭用ゲーム機市場ではエポック社と任天堂が2大メーカーとして成長しましたが、ブロック崩しゲームやインベーダーゲームなどの業務用ゲームの人気が高まると、家庭用ゲーム機市場は一時的に下火となりました。エポック社は、1981年に発売したカセットビジョンで、再び家庭用ゲーム機市場での巻き返しを図ることになります。

関連事項

TV FUN - 同時期にトミー工業より発売されたテレビゲームシリーズ。
TV JACK - 同時期にバンダイより発売されたテレビゲームシリーズ。
カラーテレビゲーム15 - 同時期に任天堂より発売されたテレビゲーム。

外部リンク

Classic Videogame Station ODYSSEY

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