シソバウリクサ

シソバウリクサ（紫蘇葉瓜草）

シソバウリクサ（学名: Lindernia setulosa）は、日本に自生する小型の一年生草本で、アゼナ属に属しています。この植物は主に山間部の森林や林縁の湿った場所に見られ、特に本州の紀伊半島、四国南部、奄美諸島に分布しています。

特徴

この草本は、地面に這う茎を持ち、長さは20-30cmに達します。茎は分枝して直立する枝を伸ばし、全体に毛は生えていないのが特徴です。葉は対生しており、形は三角状卵形で、先端が尖っています。基部は心形にくぼんでおり、葉柄は約1-2mmの長さです。葉身は8-18mmの長さ、4-11mmの幅を持ち、縁には4-7個の低い鋸歯があります。両面ともに無毛です。

花の特徴

シソバウリクサの花は、主に8月から10月にかけて咲きます。葉の付け根から細長い花茎を伸ばし、その先端には通常単独で花がつきます。萼は5つに深く裂けており、裂片は細長く尖った形状です。花冠は萼とほぼ同じ長さで、約6mmの長さを持ち、白色の花を咲かせます。雄蘂は4本あり、下側の2本には特有の棍棒状の突起が見られます。また、蒴果は楕円形で、萼よりも少し短い構造をしています。

生育環境

シソバウリクサは、主に日本の特定地域に自生しますが、奄美諸島では特に温暖な気候の湯湾岳と井之川岳に限られています。他の近縁種は水田など湿地帯に多く見られるのに対し、本種はそのような環境では生育しない点が異なります。

分類

この属に属する他の種は日本には6種類存在しますが、これらは紫色の花をつけることが特徴です。その中で、本種は唯一白い花を持つため、特異な存在となっています。

保護の状況

シソバウリクサは環境省のレッドリストには記載されていませんが、各地で保護対象として指定されている場合があります。特に高知県では絶滅危惧I類に指定されており、その分布域は非常に限定的です。しかし、一般的には鑑賞価値が低く、知名度もあまり高くないため、採集されることは少ないとされています。

参考文献

• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本III 合弁花類』,(1981),平凡社
• - 北村四郎・村田源・堀勝、『原色日本植物図鑑・草本偏I』、(1957)、保育社
• - 初島住彦『琉球植物誌（追加・訂正版）』,(1975),沖縄生物教育研究会

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