シソ

シソ：歴史、特徴、品種、栽培、効能を網羅した解説

シソ（紫蘇、学名: Perilla frutescens var. crispa）は、シソ科シソ属に属する芳香性の一年生草本です。中国大陸原産で、世界各地で広く栽培されています。古くから日本でも親しまれており、縄文時代の遺跡からも種実が出土しています。平安時代には本格的な栽培が始まり、現代では食用や薬用として重要な植物となっています。

名称と歴史

漢名は「紫蘇」で、和名「シソ」はこの漢名の音読みから来ています。「紫蘇」という名称の由来には、食中毒で生死をさまよっていた若者がシソを煎じて飲んで回復したという伝説があります。また、別の伝説では、蟹による食中毒を起こした子供にシソの葉を食べさせたところ回復したという話も伝わっています。漢字の「紫蘇」は赤ジソに由来すると言われています。

古名は「イヌエ」で、エゴマに似ているが異なる植物という意味合いが含まれていると考えられています。葉の色によって赤ジソと青ジソに大別され、葉のしわが特徴的なものをチリメンジソと呼びます。青ジソは別名「大葉」とも呼ばれます。英名はペリラ（Perilla）、仏名はペリア・ド・ノンキャン（Perilla de Nankin：南京シソの意）です。

特徴

シソは、ヒマラヤ、ミャンマー、中国南部など原産で、現在では世界中で栽培されています。茎は四角形で直立し、高さは約1メートルになります。葉は対生し、長い柄があり、広卵形で先端が尖り、縁には鋸歯があります。葉の色は緑色または赤みを帯び、品種によっては縮れた葉を持つものもあります。花期は晩夏で、白から紫色の花を多数咲かせます。短日植物であるため、秋が近づくと花芽分化し、開花結実します。種子は約6ヶ月の休眠期を経て、翌春に発芽します。

赤ジソが原種で、青ジソはその変種です。近縁種であるエゴマとは容易に交雑します。独特の清涼感のある香りから、虫がつきにくいですが、ハスモンヨトウなどの害虫に注意が必要です。

品種

シソには多くの品種や栽培品種が存在します。大きく分けると、葉が赤紫色の赤ジソと、葉が緑色の青ジソがあり、それぞれに葉に縮みがあるタイプとないタイプがあります。主な品種には、チリメンジソ、マダラジソ、アカジソ、アオジソ、カタメンジソ、チリメンアオジソなどがあります。

栽培方法

シソの栽培は、日当たりの良い場所で、春に種を蒔いて行います。繁殖力が強いため、こぼれ種からも容易に発芽します。栽培適温は25℃前後、発芽適温は20～25℃です。湿り気のある場所を好みますが、夏の乾燥と冬霜には弱いです。種子は光発芽性であるため、覆土は薄く行います。短日条件で花芽が形成されるため、長日条件下では花穂をつけずに葉を収穫できます。連作障害は出にくいと言われています。

苗作りは育苗箱で行い、本葉2枚の頃に定植します。畑では株間を40cm程とり、乾燥防止のためマルチングを行うと良いでしょう。草丈が15cm程度になったら追肥を行い、下葉から順次収穫します。害虫にはハスモンヨトウ、ハダニ、シソフキガなどに注意が必要です。

食材としてのシソ

食用となるのは主に赤ジソと青ジソ（大葉）です。ペリルアルデヒドによる特有の香りや辛味が特徴で、和風ハーブの代表格です。葉だけでなく、若芽、花穂、実も食用にされ、刺身、寿司、冷奴などの薬味として利用されます。青ジソの旬は夏から秋、赤ジソは初夏です。

赤ジソ

アントシアニン系の色素成分であるシアニジンを含み、梅干しの発色や漬物の着色に使われます。乾燥葉は七味[[唐辛子]]やふりかけにも利用され、シソジュースの原料にもなります。バイスサワーの原料にも使用されています。

青ジソ

刺身のつま、天ぷら、麺類の薬味などに使われます。若葉は「大葉」と呼ばれ、独特の香りやほのかな苦味が特徴です。

その他

穂ジソ（花穂ジソ）、芽ジソ（紫芽、青芽）なども食用となります。また、シソは漬物にも利用され、柴漬け、もみじそ（ゆかり）、醤油漬けなどがあります。

シソ油

シソの種子からはシソ油が得られます。α-リノレン酸を多く含むため、健康食品としても注目されています。ただし、酸化しやすいので、開封後は早めに消費することが推奨されます。また、スチロール容器との相性が悪いので注意が必要です。エゴマの種子からもシソ油が作られるため、購入時には表示を確認する必要があります。

栄養価と薬効

シソはβ-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、食物繊維、カルシウム、鉄、カリウムなどを豊富に含みます。特にβ-カロテン、カルシウム、ビタミンB1の含有量は野菜の中でも非常に高いです。ペリルアルデヒドは食欲増進、健胃作用、殺菌作用があり、食中毒予防に効果があります。抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれています。

シソの精油成分は、防腐作用と殺菌作用を持ち、梅干しの保存に役立っています。また、アニサキスに対する殺虫作用も報告されています。血糖値上昇抑制作用や、アミロイドβ凝集抑制効果も研究されています。

漢方では、赤紫蘇の葉（蘇葉）や種子（紫蘇子）、茎（蘇梗）が薬用として利用され、解熱、鎮痛、鎮静、咳、喘息、便秘などの治療に用いられます。アレルギー疾患の緩和にも効果が期待されています。

参考文献

（参考文献リストは省略）

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