シソワット・コサマック・ニヤリリヤット

シソワット・モニウォン・コサマック：激動の時代を生きたカンボジア王妃

シソワット・モニウォン・コサマック（1904年4月9日 - 1975年4月27日）は、カンボジア王国の王妃および王太后として、その生涯をカンボジアの激動の歴史と共に歩みました。

生涯

プノンペンでシソワット・モニヴォン王の三女として生まれたコサマックは、1920年に従兄のノロドム・スラマリットと結婚。二人の間には、後にカンボジアの国王となるノロドム・シハヌークが誕生しました。1941年に父王が崩御すると、シハヌークが国王に即位。コサマックは王母として、独立運動を支えました。1953年、カンボジアはフランスから完全独立を果たします。

1955年、シハヌークは政治活動に専念するため、スラマリットに王位を譲位。これにより、コサマックは王妃となりました。スラマリット王は1960年に崩御しますが、その後シハヌークが国家元首に就任し、王位は空位となります。コサマックは王太后として、国家の象徴としての役割を担い、元首に準じた待遇を受けました。

シハヌークの中立政策の下、カンボジアは一時平和を享受しましたが、その親越的な姿勢は、シリク・マタク副首相らの不満を招きます。1970年、マタクはロン・ノル首相と結託し、アメリカの支援を受けてクーデターを決行。シハヌークは国家元首を解任され、王制は廃止、「クメール共和国」が成立しました。コサマックは王宮に留まりましたが、クメール共和国は、シハヌーク派やクメール・ルージュの攻勢を受け、不安定な状況に陥りました。

1973年、ハン・トゥン・ハク首相は、シハヌークとの和平交渉のため北京を訪問する際、コサマックを同行させました。しかし、シハヌークは交渉を拒否し、ハクは辞任に追い込まれました。1975年4月27日、プノンペン陥落の10日後、コサマックは滞在先の北京で病により崩御しました。

人物

コサマックは、カンボジアの伝統舞踊アプサラの復興に尽力しました。孫娘のボパ・デヴィにアプサラを教える傍ら、古代アプサラの復元に情熱を注ぎました。ボパ・デヴィは後に高名な踊り手となり、王政復古後には文化芸術大臣も務めました。コサマックの文化に対する貢献は、カンボジアの歴史において重要な意味を持っています。

シソワット・モニウォン・コサマックは、激動の時代を生き、カンボジアの政治と文化に大きな影響を与えた女性でした。

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