ノロドム・スラマリット

ノロドム・スラマリット：カンボジアの国王

ノロドム・スラマリット（1896年3月6日 - 1960年4月3日）は、20世紀にカンボジアの国王として在位した人物です。彼の生涯と業績、そして日本との関係について詳しく解説します。

生涯

スラマリットは、ノロドム王の王子であるノロドム・スタロットの息子としてプノンペンで生まれました。彼は、父の従兄弟にあたるシソワット・モニヴォン王の王女、コサマックを妃としました。そして、彼らの第一王子が、後にカンボジアの重要な指導者となるノロドム・シハヌークです。

1930年代半ばには、モニヴォン王の後継者として有力視され、30年代末にもシソワット家のモニレット親王とともに、再び後継候補となりました。しかし、フランスの政策によって、1941年には息子のシハヌークが王位を継承することになります。

その後、1955年3月3日に、政治活動への参加のために退位したシハヌークから王位を譲られ、スラマリットは国王に即位しました。彼の治世は、首相に就任したシハヌークの強力な国政指導と、厳正な中立政策によって、平和な時代が続きました。しかし、スラマリット国王は健康を害し、1960年4月3日に在位5年で崩御しました。

スラマリットの崩御後、カンボジアの王位は1970年のロン・ノルクーデターによる王制廃止まで空位となりました。国王空位の間、シハヌークが国家元首として政務を執り、コサマック王妃が国王の「象徴」とみなされました。

日本との関係

スラマリットが国王に復位したのは、シハヌークからの譲位を受けた約1年後の1956年3月1日のことでした。スラマリット新国王の戴冠式に合わせて、昭和天皇より大勲位菊花大綬章が授与されました。昭和天皇のカンボジア訪問はなく、プノンペン駐箚の吉岡範武大使によって伝達されました。


ノロドム・スラマリットは、カンボジアの激動の時代を生き、平和な時代を築いた国王として、その名が歴史に刻まれています。

参考文献
* ミルトン・オズボーン 『シハヌーク－悲劇のカンボジア現代史』 岩波書店、1996年、ISBN 400023305X。

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