シチリアのアガタ

聖アガタ（シチリアのアガタ）は、3世紀頃に殉教したとされるキリスト教の聖女であり、カトリック教会、正教会などで聖人とされています。カターニアの守護聖人として広く知られ、記念日は2月5日（正教会では2月18日に相当）です。カトリック教会のミサでは、聖母マリアを除く7人の女性聖人の一人として名前が読み上げられます。正教会では聖致命女アガフィヤとして記憶されています。

生涯

聖アガタは、シチリア島カターニアで生まれました。伝承によれば、彼女は非常に美しい女性であり、当時のローマ人権力者から求愛を受けましたが、キリスト教徒としての信仰を固く守り、拒否しました。そのために、権力者は彼女をキリスト教徒であるという理由で捕らえ、様々な拷問を加えました。

最も有名な拷問は、彼女の両方の乳房を切り落とされたというものです。そのため、聖アガタは切り落とされた乳房を皿に乗せて持つ姿で描かれることが多く、この象徴的な描写が彼女の聖人としてのイメージを強く印象付けています。乳房の形から、鐘職人やパン職人の守護聖人として崇敬されるようになり、近年では乳癌患者の守護聖人としても信仰を集めています。

彼女は火あぶりの刑に処されることになりましたが、刑が執行されようとしたまさにその時、大地震が発生し、処刑は中止されました。その後、アガタは獄中で亡くなったと伝えられています。

マルタの守護聖人として

1551年、オスマン帝国がマルタ島に侵攻した際、人々は聖アガタに助けを求め、熱心に祈りました。その結果、マルタ島はオスマン帝国の侵攻から守られたとされ、聖アガタはマルタの守護聖人としても崇敬されるようになりました。

聖アガタは、信仰を守り抜いた強い意志と、苦難に耐え抜いた忍耐力の象徴として、今日でも多くの人々に敬愛されています。彼女の生涯は、信仰の重要性と、困難な状況においても希望を失わないことの大切さを教えてくれます。

もう一度検索