シックスフロア博物館

シックスフロア博物館

シックスフロア博物館（The Sixth Floor Museum at Dealey Plaza）は、アメリカ合衆国テキサス州ダラス市のダウンタウンに位置する歴史博物館です。特に、1963年11月22日に発生したジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件の中心的な場所として世界的に知られています。博物館は、事件発生時に狙撃地点とされた場所、すなわち、ダラスのディーリープラザに面した、かつてテキサス教科書倉庫として利用されていたビルの6階に設置されています。

この博物館は、ジョン・F・ケネディ大統領の生涯、彼がリーダーシップを発揮した時代、そして非業の死に至るまでの経緯を深く掘り下げています。また、暗殺事件そのものに焦点を当て、実行犯とされるリー・ハーヴェイ・オズワルドの人生や、事件後の公式調査報告書の内容、さらには事件を巡る様々な陰謀説についても、歴史的な視点から包括的に紹介・研究を行っています。

博物館の設立と運営

シックスフロア博物館は、ダラス郡歴史協会によって設立されました。事件から時を経て、歴史的な事実を後世に正確に伝えるため、そして現場となった場所を保存するために計画され、1989年2月20日、アメリカ合衆国の祝日である「大統領の日」に一般公開が開始されました。

博物館の運営は、公的な助成金に依存せず、主に訪問者からの入場料収入と、個人や団体からの寄付によって自活しています。使用しているビル（旧テキサス教科書倉庫）のスペースはダラス郡から借り受けており、このような独立した資金基盤が博物館の活動を支えています。

展示とコレクション

館内の展示室では、ケネディ大統領暗殺事件に関する多岐にわたる資料が公開されています。当時の貴重な歴史動画、事件現場や関係者の写真、事件に関連する遺品、そして専門家による詳細な解説などが組み合わされており、訪問者は事件の背景、発生、そしてその後の影響について深く学ぶことができます。

重要な収蔵品

博物館は、事件に関する最も象徴的な資料の一つである「ザプルーダー・フィルム」の著作権と複製映像を収蔵しています。これは、事件発生時の様子を偶然にもカラー映像で記録した唯一のフィルムであり、極めて重要な歴史的資料とされています。1999年12月、フィルムの撮影者であるアブラハム・ザプルーダー氏のご遺族から、このフィルムの著作権および1963年11月22日に原版から直接作成されたものを含む複製映像が博物館に寄贈されました。以降、ザプルーダー家はこの映像に関する権利を一切所持せず、博物館が全ての権利を保有しています。ただし、オリジナルの原版フィルム自体は、現在アメリカ国立公文書記録管理局が保管しています。

また、2007年2月19日には、これまで未公開だったケネディ大統領のパレードの様子を捉えた8ミリ映画フィルムが、ジョージ・ジェフリーズ氏とその義理の息子から博物館に寄贈され、初めて一般公開されました。約40秒間のカラー・サイレント映像には、暗殺直前のディーリープラザへ向かうパレードの活気ある様子や、事件翌日の静けさを取り戻したディーリープラザの風景が収められています。特に、ディーリープラザに入る約2分前のジャクリーン・ケネディ夫人の笑顔や、スーツ姿のケネディ大統領の後ろ姿などが記録されており、事件発生直前の貴重な瞬間を垣間見ることができます。

ウェブカメラ

シックスフロア博物館は、事件発生時に狙撃場所とされた6階の窓からの現在の眺めを、ウェブカメラを通じてオンラインで公開しています。このウェブカメラは、歴史的な場所の現在の様子を伝えるためのものであり、暗殺事件そのものを賛美したり、センセーショナルに扱う意図はないことが示されています。

まとめ

シックスフロア博物館は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件というアメリカ史上の大きな出来事と向き合うための重要な場所です。歴史的な現場に立ち、豊富な資料を通じて事件の真相、背景、そしてその後の影響について学ぶことで、訪問者は歴史の暗部と向き合い、平和の重要性や歴史の記録の意義について深く考える機会を得ることができます。

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