シティ・ホール駅 (BMTブロードウェイ線)

ニューヨーク市地下鉄シティ・ホール駅：地上に現れた歴史と謎

ニューヨーク市地下鉄BMTブロードウェイ線シティ・ホール駅は、マンハッタンのシヴィックセンターとトライベッカにまたがる、地上駅です。ブロードウェイとウォーレン・ストリート、そしてマリー・ストリートの交差点付近、ニューヨーク市庁舎の西側に位置しており、N系統（深夜のみ）、R系統（深夜を除く終日）、W系統（平日）の列車が運行しています。

駅構造：地上と地下、そして未完成の部分

シティ・ホール駅は、地上にある上層階と、地下にある下層階から構成されています。上層階は1面2線の島式ホームで、地上から直接階段でアクセスできる、非常に幅の広い構造です。南端に行くほどホーム幅が狭くなっていくのも特徴です。1970年代の改修で、壁面タイルや案内看板、照明などが一新されました。

この駅のユニークな点は、かつて存在したシーサスクロッシングという計画の名残です。当初、この上層階をターミナル駅として、列車を折り返す設計でした。そのため、ホームの北側は幅が広く、南側は先細りしているのです。現在では、南側の線路は西側にカーブし、コートランド・ストリート駅へとつながっています。

改札口はホーム中央にあり、北側にはブロードウェイとウォーレン・ストリート交差点東側に2つの階段、南側にはブロードウェイとマリー・ストリート交差点東側に1つの階段が設置されています。

一方、地下にある下層階は、2面3線の構造ですが、東側のホームは未完成で、階段も接続されていません。中央の線路は、両方向への折り返しが可能な設計でしたが、計画変更により、現在は使用されていません。当初は上層階を緩行、下層階を急行列車が使用する予定でしたが、計画変更により、上層階を旅客列車が、下層階を非営業列車の留置などに使用しています。下層階ホームの長さは約150メートルで、8両編成の列車の留置に十分な長さがあります。しかし、使用できるのは西側と中央の2線のみで、東側の1線はサードレールがなく使用できません。東側の線路にもかつてサードレールがあったことが分かっていますが、撤去された時期は不明です。

歴史と計画変更：未完の駅

下層階は完成後、一度も旅客列車が入線したことはありません。下層階ホームの天井は、上層階の南端が下り勾配であるため、南端に行くほど低くなっています。また、シティ・ホール駅に停車する列車はすべてホワイトホール・ストリート-サウス・フェリー駅方面へ向かい、折り返しは行われません。

このように、シティ・ホール駅は、当初の計画と異なる形で完成し、現在も未完成部分が残る、歴史的にも興味深い駅です。1970年代の改修と、未完成の下層階という、対照的な要素が共存する独特の空間が、この駅の大きな魅力となっています。完成当時の構想を知ることで、現在の駅構造の理解が深まるでしょう。

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