シトロバクター属

シトロバクター属について

シトロバクター属は、プロテオバクテリア門のγプロテオバクテリア綱、エンテロバクター目に属する真性細菌の一群です。この属の名前は、特にクエン酸代謝能に由来しています。また、シトロバクター属には現在、11種が知られています。これらは無芽胞形成で、グラム陰性、通性嫌気性の桿菌です。さらに、運動性を有しており、周囲の環境に適応して生息しています。

かつて、シトロバクター属には「Citrobacter diversus」という種が存在していましたが、現在ではこの種は本属から除外されています。この変遷は、分子生物学的な手法による分類の進展を反映しており、シトロバクター属の定義がより明確になっています。

代謝機能と成長環境

シトロバクター属の細菌は、GC比が50から52の範囲で、エネルギー源としてグルコース、ラクトース、クエン酸、ムコン酸、酒石酸などを利用することができます。また、一部の種はシアン化カリウムや硫化水素も代謝できる能力を持っています。これにより、シトロバクター属は混合酸発酵を行うことができ、さまざまな環境での生存能力が高いことが特徴です。

シトロバクター属の細菌は、食物、動物の糞、淡水、そして土壌に広く分布しています。これらの細菌は、通常は無害ですが、特定の条件下で病原性を示すことがあります。そのため、日和見感染症の原因菌としての可能性を持つため、注意が必要です。特に免疫力が低下した人々にとっては、感染のリスクが高まることがあります。

医療における重要性

シトロバクター属の細菌は、医療分野でも重要な位置を占めています。感染症の際にスクリーニングの対象となることがあり、特に院内感染の原因となることもあります。こうした感染は、しばしば抗生物質に対する耐性を示すことがあり、治療が難航することも少なくありません。そのため、医療機関ではこれらの細菌の検出と識別が重要視されています。

まとめ

シトロバクター属は、非常に多様な環境に生息し、特徴的な代謝能力を持つ腸内細菌ですが、その病原性にも留意が必要です。今後の研究により、より多くの情報が蓄積され、シトロバクター属の理解が深まることが期待されます。特に、医療現場における感染症管理において、この属の細菌を正確に識別し対応することが求められるでしょう。

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