ラクトース

ラクトース（乳糖）とは？

ラクトース、別名乳糖は、甘さの度合いがショ糖の約40％しかない二糖類の糖質です。哺乳類の母乳や牛乳に豊富に含まれることで知られていますが、植物ではレンギョウの花粉中にも存在が確認されています。

ラクトースの性質と体内での働き

ラクトースは、グルコースとガラクトースという2種類の単糖がβ-1,4-グリコシド結合で結びついた構造をしています。その化学式はC₁₂H₂₂O₁₁、分子量は342.3です。乳漿（ホエイ）から抽出・精製されます。

体内では、小腸でラクターゼという酵素によってグルコースとガラクトースに分解され、吸収されます。ガラクトースは肝臓でグルコースに変換され、エネルギー源として利用されます。

興味深いことに、乳糖は高濃度のグルコースに比べて、身体への毒性が低いという特徴があります。血中のグルコース濃度が0.14%を超えると糖化反応による毒性が現れますが、グルコースを乳糖として再合成することで、数パーセントの濃度であっても細胞への毒性を抑えることができます。これは、母乳を通して乳児に多量の糖分を安全に供給するための、自然の巧妙な仕組みと言えるでしょう。

また、母乳に含まれる乳糖の一部は、大腸に達するまで分解されずに残ります。この未分解の乳糖は、腸内細菌、特にビフィズス菌の増殖を促進する働きがあります。ビフィズス菌は腸内環境を整える上で重要な役割を果たすため、乳糖は乳児の健康な発育に貢献していると言えるでしょう。

食品への利用と注意点

ラクトースは食品添加物としても利用されています。しかし、大量に摂取すると下痢を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。還元乳糖は特に緩下作用が強いことが知られています。そのため、食品に使用する場合には、整腸作用のある還元難消化性デキストリンなどを併用することで、緩下作用を軽減する工夫がなされることもあります。

関連事項

牛乳: ラクトースの主要な供給源
乳糖不耐症: ラクターゼの欠乏により、乳糖を消化できない状態
醍醐: 牛乳から作られる乳製品。ラクトースを含む。
ラクトースオペロン: 大腸菌などにおける、乳糖代謝に関わる遺伝子の集合体

ラクトースは、栄養源としての役割に加え、腸内環境の改善にも寄与するなど、多様な側面を持つ糖質です。その性質や体内での働き、食品への利用法などを理解することで、より適切に活用できるでしょう。

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