シドニー・パーキンソン

シドニー・パーキンソン：クック船長航海と博物画の遺産

スコットランド出身の[クエーカー]]教徒、シドニー・パーキンソン (1745年頃 - 1771年1月26日) は、18世紀の博物画において重要な役割を果たした画家として知られています。彼の名は、ジェームズ・クック船長の最初の太平洋探検[[航海] と深く結びついています。

1762年、パーキンソンは航海に同行した植物学者、ジョセフ・バンクスの招聘を受け、記録画家としてエンデバー号に乗り込みました。航海では、バンクスと、もう一人の植物学者ダニエル・ソランダーが収集した膨大な数の植物や動物標本を、パーキンソンが丹念に描き残しました。その数は数千点にのぼり、当時の自然科学研究に大きく貢献しました。

想像を絶する劣悪な環境下での作業でした。狭い船室は、何百もの標本で埋め尽くされ、パーキンソンはそこで絵筆を執ったのです。タヒチでは、絵の具に群がる無数のハエに悩まされるなど、作業環境は決して恵まれていたとは言えませんでした。こうした困難を克服しながらも、彼は精緻で写実的な博物画を次々と制作しました。

しかし、彼の短い生涯は悲劇的な結末を迎えます。ジャワ島沖で赤痢にかかり、ケープタウンへの帰途につくエンデバー号上で、1771年1月26日、パーキンソンは26歳（またはそれより少し上の年齢）で亡くなりました。バンクスは、彼の家族に多額の報酬を支払うことで、パーキンソンの貢献を称えました。

パーキンソンの功績を称え、クロミズナギドリの一種に Procellaria parkinsoni という学名が与えられています。また、彼の残した膨大な作品は、後世に大きな影響を与え続けています。1988年には、35巻にわたる『Alecto Historical Editions』として出版され、ロンドンの自然史博物館ではデジタル化されたアーカイブとして公開されています。さらに、1986年にはオーストラリアで彼の肖像が記念切手に採用されるなど、その業績は広く称えられています。

パーキンソンの植物画は、細密で正確な描写、そして植物のもつ繊細な美しさを巧みに捉えた作品として高く評価されています。彼の博物画は、単なる記録にとどまらず、芸術作品としても高い価値を持ち、現代においても科学的、芸術的両面から重要な資料として活用されています。彼の遺した博物画は、18世紀の科学探検と博物学における重要な記録であるとともに、自然への深い愛情と観察眼を示す貴重な芸術遺産と言えるでしょう。

参考文献

Birds - The Art of Ornithology, Jonathan Elphick (2004) ISBN 1-902686-39-X
Parkinson's posthumously published Journal, 1773, online at the National Library of Australia
* de Bray, Lys (2001). The Art of Botanical Illustration: A history of classic illustrators and their achievements, pp. 72, 77. Quantum Publishing Ltd., London. ISBN 1-86160-425-4.

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