シナイモツゴ

シナイモツゴの概要

シナイモツゴ（学名：Pseudorasbora pumila）は、コイ科に属する淡水魚で、日本国内では特に青森県や宮城県で見られる種です。特徴的な体型を持つこの魚は、絶滅の危機にさらされています。基本的に雑食性で、動物性の餌や付着藻類を食べて生活しています。

分布

この魚は、日本のいくつかの地域に生息していますが、特に青森県の青森平野や秋田県、岩手県、新潟県、福島県、宮城県、山形県などで確認されています。しかし、茨城県、神奈川県、埼玉県、群馬県、千葉県、東京都、栃木県では絶滅してしまったとされています。シナイモツゴの模式標本の産地は宮城県の品井沼で、和名はここから由来しています。

形態的特徴

シナイモツゴは、その形状において特異な特徴を持ちます。側線は不完全で、体の側面には特徴的な黒い縦縞が確認できるのが特徴です。全体的にずんぐりとした体型をしており、頭長は体長の約26.5%から31.6%に及びます。これにより、同属のモツゴとは明確な違いがあります。

生息の歴史

シナイモツゴの和名の由来となった品井沼は、宮城県中部にかつて存在しました。しかし、干拓事業によってこの沼が消失した後、長い間この魚の生息が確認されなくなりました。1993年9月には、宮城県の水産技術総合センターの調査により、鹿島台町桂沢のため池でシナイモツゴが再び確認されました。これに伴い、大崎市では地元有志によってNPO法人「シナイモツゴ郷の会」が結成され、シナイモツゴの生息環境の復元とオオクチバスやアメリカザリガニの駆除に積極的に取り組んでいます。

環境への影響

シナイモツゴの生息数は、人為的な要因によって大きく影響を受けています。特に、オオクチバスやブルーギル、アメリカザリガニなどが人為的に移入されたことで、これらの魚に捕食されるリスクが高まりました。また、同じく移入されたモツゴとの交雑も問題で、遺伝子汚染が進行しているため、生息数は著しく減少しています。関東地方では1940年代までの間にほぼ絶滅したとされ、長野県も2006年にシナイモツゴを県の希少野生動植物種に指定しています。

絶滅危惧種

シナイモツゴはその絶滅危惧の度合いから、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧IA類 (CR)に分類されています。これは、この種が非常に危機的な状況にさらされていることを示しており、保護活動が急務であることを示唆しています。環境の保全とともに、シナイモツゴの生息環境を守る取り組みが求められています。

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