シネサイト

シネサイト（Cinesite）は、イギリスのロンドンに本社を構える世界的に有名なVFX制作会社です。その歴史は、かつてアメリカのコダック社が自社のコンピューターシステム「Cineon」を稼働させるために1992年にハリウッドに設立したデジタル映像センターに遡ります。当初、ハリウッドオフィスではフィルムスキャンや画像処理が主な業務でしたが、VFX部門ではコンポジットや3DCG技術を駆使し、『スペース・ジャム』や『ミッション:インポッシブル』といった映画のVFXを手がけました。1994年には現在の本社となるロンドンオフィスも開設されましたが、2003年にハリウッドオフィスは閉鎖され、制作拠点はロンドンに集約されました。

1999年からはテレビ番組のVFXにも参加し始め、2005年の『ROME［ローマ］』、2009年の『ジェネレーション・キル 兵士たちのイラク戦争』では、その卓越した技術によりエミー賞を二度も受賞しました。また、2000年以降は『ハリー・ポッター』シリーズ全8作において、VFXだけでなくミニチュア制作・撮影も担当し、劇中に登場するホグワーツ城などの建造物のミニチュアは、その精巧さで観客を魅了しました。さらに、『チャーリーとチョコレート工場』では工場とその周辺の街並みを、『Vフォー・ヴェンデッタ』ではウェストミンスター宮殿や英国刑事裁判所をミニチュアで制作し、爆破シーンの撮影にも携わりました。

2007年には、『ライラの冒険/黄金の羅針盤』でのVFXが評価され、アカデミー賞と英国アカデミー賞で最優秀視覚効果賞を受賞しました。2010年にはステレオスコピック3D変換にも進出し、技術の幅を広げています。2012年5月には、親会社であったコダックが破産手続きに入ったため、イギリスの投資会社に売却され、シネサイトは独立企業として新たなスタートを切りました。その後、2013年12月には初のCGアニメーション短編作品『Beans』をYouTubeで公開し、1300万回以上再生されるなど話題となりました。2014年1月にはモントリオールにオフィスを開設、2015年7月にはバンクーバーのVFX制作会社イメージエンジンを吸収合併し、3つの制作拠点を構えるVFX会社へと成長を遂げました。

近年では、VFXだけでなくCGアニメーション制作にも力を入れており、2016年2月にはアニメーション制作スタジオ「シネサイト・アニメーション」をモントリオールに設立、2017年3月には『きかんしゃトーマス』や『ソーセージ・パーティー』などのCGアニメ作品で知られるバンクーバーのアニメ制作会社ナイトロジェン・スタジオを買収しました。シネサイトは、2020年までに9つの長編アニメーション作品を制作する予定であると発表しており、今後のアニメーション作品への期待が高まっています。

シネサイトは、映画、テレビドラマ、アニメーションと幅広い分野で作品を手がけており、その参加作品リストには、『007 スカイフォール』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー|アベンジャーズ_インフィニティ・ウォー』、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』など、数々の大作映画が名を連ねています。テレビドラマでは、『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ウエストワールド』、アニメーション作品では『リバーダンス』や『Extinct』、『Blazing Samurai』などが挙げられます。また、短編アニメーションでは『Beans』や『Mila』を手がけています。

シネサイトは、その長年の経験と技術力、そして常に新しい技術に挑戦する姿勢により、VFX業界を牽引する存在として、今後も数々の作品を通じて世界中の観客を魅了し続けるでしょう。

もう一度検索