シネセゾン

株式会社シネセゾン：日本の映画界に彩りを添えた配給会社

株式会社シネセゾンは、1984年2月1日、セゾングループの中核を担っていた西武百貨店、西友、パルコの3社によって設立された映画配給会社でした。設立当初から、西友の冨田道彦氏が代表取締役社長に就任するなど、セゾングループとの深い繋がりを持っていました。

シネセゾンの事業は、主にアート系映画の配給に特化していました。設立当初は『火まつり』や『星くず兄弟の伝説』といった日本映画の製作にも関わっていましたが、その後はグループが運営するミニシアター（シネセゾン渋谷など）への配給や、グループ内映画館の番組編成協力が中心業務となりました。映画製作は、西友の映画事業部が担うようになりました。

シネセゾンの配給作品は多岐に渡り、150タイトル以上にも及ぶと言われています。特に、ヨーロッパの古典作品や、ニューヨークのインディペンデント作品に焦点を当て、多くの名作を日本市場に紹介しました。代表的な配給作品には、『さよなら子供たち』（ルイ・マル監督）、『バベットの晩餐会』（ガブリエル・アクセル監督）、『ダメージ』（ルイ・マル監督）、『ギルバート・グレイプ』（ラッセ・ハルストレム監督）、『未来は今』（ジョエル・コーエン監督）などが挙げられます。これらの作品は、高い評価を得て、日本における欧米映画の普及に貢献しました。

さらに、シネセゾンは映画監督に焦点を当てた特集上映を企画・開催することで知られていました。例えば、「パラジャーノフ祭」（1991年）や「カサヴェテス・コレクション」（1996年）といった、特定の監督の作品をまとめて紹介する企画は、当時としては斬新な試みであり、映画ファンに大きな話題を提供しました。これらの企画は、単なる映画の上映にとどまらず、ファッション的な要素も取り入れ、映画鑑賞体験全体を豊かにするものでした。

本社所在地は、設立当初はセゾングループの本部が集中していた東京都豊島区東池袋のサンシャイン60でした。その後、東京都中央区京橋のアサコ京橋ビルに移転し、同ビル地下階には「シネセゾン試写室」が設置されました。1990年代中期には、東京都千代田区麹町半蔵門村山ビルに移転し、シネセゾンが活動を終了するまでそこにありました。このビルには、西友の映画、放送、文化教室などの文化・メディア事業本部も置かれていたことから、シネセゾンのセゾングループ内での位置づけが伺えます。

シネセゾンの活動は1998年6月に終了しましたが、最後の配給作品はパスカル・フェラン監督の『a.b.c.の可能性』でした。14年間の活動期間中、シネセゾンは数多くの良質な映画を日本に紹介し、日本の映画文化に大きな貢献を果たしました。その功績は、多くの映画ファンや関係者の記憶にしっかりと刻まれています。

シネセゾンは、数多くの映画祭にも協力していました。例えば、フランス新作映画祭、イタリア映画祭、北欧映画祭、キューバ映画祭'89、ソビエト映画祭'90、新ラテンアメリカ映画祭'90など、多様な国の映画を紹介する映画祭を支援し、国際的な映画交流にも貢献しました。これらの活動を通じて、シネセゾンは単なる配給会社にとどまらず、日本の映画界を活性化させる存在として重要な役割を果たしていました。

シネセゾンの歴史を振り返る上で、忘れてはならないのは、彼らが配給した映画の数々です。1980年代から1990年代にかけて、数多くの名作がシネセゾンによって日本に紹介されました。これらの作品は、日本の映画ファンに大きな影響を与え、その後の日本の映画文化に大きな貢献を果たしました。シネセゾンの活動は、日本の映画史において重要な一ページとして刻まれています。

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