シノファーム

中国国家医薬集団（シノファーム）：世界に貢献する中国の製薬巨人

中国国家医薬集団（シノファーム）は、中国を代表する国営製薬企業です。多岐にわたる医薬品や医療機器の開発・製造・販売を手掛け、その規模は世界的に見ても巨大です。2016年には、フォーチュン・グローバル500にランクインするなど、その経済的な影響力は計り知れません。

シノファームは、複数の関連企業を傘下に収めています。公開企業であるシノファームグループや、中国漢方薬などの企業がその例です。上海シンデック製薬や北京天壇生物製剤などもシノファームの関連企業であり、中国国内における医薬品市場における存在感は非常に大きいです。これらの企業は、シノファームの主要株主である中国国家医薬集団公司を通して、間接的に運営されています。また、シノファームは国務院国有資産監督管理委員会の監督下にあるため、中国政府の強い影響力下にあると捉えることもできます。

歴史と発展

シノファームの歴史は1998年に遡ります。中国国家医薬公司、中国国家医薬工業公司、中国国家医薬対外貿易公司、中国国家医療器械工業公司の4社が合併して設立されました。その後、2009年には中国生物技術集団公司との合併を経て、現在の巨大な規模へと成長しました。しかし、その歴史の中で、子会社である武漢生物製品研究所による不適切なワクチン販売による罰金問題なども抱えています。

COVID-19ワクチン開発における貢献

シノファームの国際的な知名度を高めたのが、COVID-19ワクチンの開発です。特に、BBIBP-CorVという不活化ワクチンは、世界的なパンデミックの中で重要な役割を果たしました。北京と武漢にある子会社が共同で開発したこのワクチンは、アルゼンチン、バーレーン、エジプト、ヨルダン、モロッコ、パキスタン、ペルー、アラブ首長国連邦など、多くの国々で第III相臨床試験を実施し、高い有効性を示しました。

UAEでは、フェーズIII試験の中間解析の結果、86％の有効性が確認され、いち早く緊急使用が承認されました。その後、中国国内でも承認され、世界各国へ供給が始まりました。シノファームが発表した有効性は79.34％でしたが、WHOは79％と推定しており、mRNAワクチンに比べて有効性はやや低いものの、通常の冷蔵温度で輸送・保存が可能なため、特に発展途上国においては、ワクチン接種を促進する上で重要な役割を果たしました。

2021年5月には、WHOがシノファームのワクチンの緊急使用を承認。これは、欧米以外では初の承認であり、COVAXファシリティを通じた発展途上国へのワクチン供給にも貢献することになりました。

まとめ

シノファームは、中国を代表する巨大製薬企業として、国内市場のみならず、国際社会にも大きな影響力を持っています。COVID-19ワクチン開発における貢献は、その存在感を世界に示すものでした。今後も、医薬品開発を通じて、世界中の健康に貢献していくことが期待されます。 ただし、過去の子会社による問題や、ワクチンの有効性に関する議論など、課題も存在します。これらの課題を踏まえつつ、透明性と倫理性を重視した企業運営が求められるでしょう。

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