シブサワ・コウ

シブサワ・コウとは

シブサワ・コウは、日本のコンピュータゲームメーカーであるコーエーテクモゲームス（旧コーエー）のブランド名であり、同社の歴史シミュレーションゲームのプロデューサー名として広く知られています。『信長の野望』や『三國志』シリーズなど、数々の名作にその名がクレジットされています。

プロデューサー名としてのシブサワ・コウ

シブサワ・コウは、特定の個人を指すのではなく、コーエーの開発チーム全体を表すプロデューサー名です。これは、東映の八手三郎やサンライズの矢立肇などと同様の手法で、ブランドイメージを前面に出すために採用されました。

このプロデューサー名の発案者は、当時の専務であった襟川恵子氏です。彼女は、ファッションブランドがデザイナーの名前やブランド名を前面に出すように、ゲーム開発においても責任の所在を明確にしたいと考えました。1983年に発売された『信長の野望』で初めて「シブサワ・コウ」名義が使用され、その後、多くの作品でクレジットされることになります。

当初、「シブサワ・コウ」は謎に包まれた人物とされていましたが、後にコーエー創業者である襟川陽一氏のペンネームであることが判明しました。襟川氏が会長職を妻に譲り、開発に専念するようになった2000年に、PlayStation 2用ゲームソフト『決戦』発表時に、正式に襟川陽一氏のペンネームとして発表されました。しかし、襟川氏が直接開発に関わっていないタイトルにも、総合プロデューサーとして「シブサワ・コウ」の名はクレジットされ続けています。

名前の由来は、襟川陽一氏が尊敬する渋沢栄一から「シブサワ」、そしてコーエーの旧社名である光栄の「光」から「コウ」が取られました。また、身長185cmという設定は、襟川陽一氏自身の身長が元になっています。

襟川陽一氏は、「『シブサワ・コウ』というプロデューサー名を付けたことは非常によかった」と語り、経営者としての立場から離れ、「100%シブサワ・コウとしてゲームを作り続ける」ことを将来の夢としています。

主なシブサワ・コウ作品

襟川陽一：コーエーテクモホールディングスおよびコーエーテクモゲームス代表取締役社長。1978年に光栄を設立。テレビ番組で「私がシブサワ・コウです」と語ったこともあります。

1981年10月：『川中島の合戦』を発売。歴史シミュレーションゲームという新ジャンルを確立しましたが、この作品にはまだ「シブサワ・コウ」の名はクレジットされていません。
1985年12月：『三國志』を発売。「三國志」シリーズの第1作。
1987年12月：『麻雀大会』を発売。シブサワ自身がゲームの登場人物として登場。
1993年1月：『Winning Post』を発売。馬主シミュレーションゲーム。
2000年3月：『決戦』を発売。リアルタイム合戦エンタテインメント。
2017年2月：『仁王』を発売。ダーク戦国アクションRPG。「戦国死にゲー」というキャッチコピーが話題に。
2020年9月：『三國志 覇道』サービス開始。「三國志」35周年記念作品のMMOSLGジャンルのスマホゲーム。

NHK大河ドラマ『真田丸』や『鎌倉殿の13人』では、3D地図監修として技術協力を行っています。
2021年10月：日本ゲーム大賞経済産業大臣賞を受賞。長年のゲーム業界への貢献が評価されました。

フクザワ・エイジとは

コーエーのゲームには、「フクザワ・エイジ」というクレジットも存在します。これは主に、同社独自のジャンルであるリコエイションゲーム（『大航海時代』シリーズや『太閤立志伝』シリーズなど）で使用されます。

リコエイションゲームの新作が2004年発売の『太閤立志伝V』以降リリースされていないため、「フクザワ・エイジ」がクレジットされた作品はしばらく出ていません。2022年に発売された『太閤立志伝V DX』では、シブサワ・コウがクレジットされています。

名前の由来は、襟川陽一氏の出身大学の創立者である福澤諭吉から「フクザワ」、光栄の「栄」から「エイ」、そしてシブサワ・コウから数えて2番目なので「ジ」が取られました。

ブランド名としてのシブサワ・コウ

2016年4月、コーエーテクモゲームスは5つのブランドで運営されることになり、そのうちの1つが「シブサワ・コウ」となりました。現在のブランド長は、コーエーテクモゲームス執行役員の伊藤幸紀氏です。

シブサワ・コウブランドは、旧光栄時代から発売されてきたシミュレーションゲーム分野を主に担当し、「信長の野望」シリーズ、「三國志」シリーズ、「Winning Post」シリーズ、「大航海時代」シリーズ、「仁王」シリーズなどを展開しています。近年ではスマホゲーム『三國志 覇道』もヒットさせています。また、『ファイアーエムブレム 風花雪月』やテレビアニメ『群青のファンファーレ』の競馬3Dモデル・モーション協力など、ジャンルを超えた活動も行っています。

関連項目

ペンネーム
シブサワ・コウ アーカイブス

参考文献

『光栄ゲーム用語事典』光栄、1989年12月30日発行
『シブサワ・コウ 0から1を創造する力』PHP研究所、2017年4月4日発行

外部リンク

* シブサワ・コウブランド 公式 (@shibusawa_kt) - X（旧Twitter）

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