シベリア (ゲーム)

『シベリア』ゲーム概要

『シベリア』（Syberia）は、フランスのゲーム開発会社Microïdsが製作したアドベンチャーゲームです。この作品では、弁護士であるケイト・ウォーカーが、からくり人形（オートマタ）のオスカーと共にヨーロッパを横断し、彼女の契約相手である老人ハンス・ボラルバーグの行方を探し続ける物語が描かれています。ゲームは独特なビジュアルとストーリーで高く評価されており、シリーズ化もされました。初代と続編の『シベリアII』の累計販売本数は、2016年には300万本を超えています。

タイトルの由来

本作のタイトルである「シベリア」は、作中に登場する架空の島を指し、実際のロシアの地名「シベリア」（Siberia）とは英綴りが異なります。このため、以降の文中では実在の地域を「シベリア」、架空の島を「シベリア島」と区別して説明します。

ゲームシステム

『シベリア』はスチル背景と3Dモデルを組み合わせたグラフィックで表現されています。プレイヤーはケイトを操作し、疑似的な3D空間を探索します。ゲーム内では、アイテムを集めてストーリーを進行させる要素があり、ケイトは時折携帯電話を使って他のキャラクターとコミュニケーションを取ります。また、ゲームオーバー要素は存在しないため、プレイヤーはストーリーをゆっくり楽しむことができます。

ストーリー

バラディレーン

物語は2002年4月17日、ニューヨークの弁護士ケイト・ウォーカーがフランスの小さな町バラディレーンを訪れるところから始まります。この町はかつてからくり人形製造の中心地でしたが、新たな娯楽の出現によって工場は閉鎖寸前です。ケイトの目的は、工場の買収手続きを進めることです。しかし、現地で待つ契約相手のアンナ・ボラルバーグが死去したことを知ります。ケイトは町の公証人を訪ね、アンナには生きている弟ハンスがいることを教えられ、彼を探す旅に出ます。

ハンスの探索

ケイトは、ハンスの手がかりを求めて町を探索する中で、幼少期のハンスが探検した洞窟にたどり着きます。そこにはマンモスの遺跡があり、ハンスが過去にいたことを示す証拠が隠されています。その後、ケイトは工場に戻り、からくり人形オスカーと出会います。オスカーはハンスが設計したもので、ケイトの冒険のパートナーとなります。

大学都市バロクシュタット

ケイトとオスカーは機関車に乗り、次の目的地である大学都市ーバロクシュタットへと向かいます。しかし、機関車のゼンマイがゆるんで停車します。そこで彼女は現地の大学で古生物学者コロネリウス・ポンスと出会い、ハンスの過去についての重要な情報を得て、彼の言うとおりに行動します。

コムコルツグラッド

次に、彼らは廃墟となった工業都市コムコルツグラッドに到達します。ここでケイトは権力を自称するセルゲイ・ボロディンと出会います。彼は、からくり人形の芸術性に魅了されていることから、歌手ヘレナ・ロマンスキーを呼び寄せたいと願います。協力の見返りにオスカーのパーツの返還を約束し、ケイトはヘレナを探しにアラルバッドへと旅立ちます。

アラルバッド

アラルバッドでは、ケイトは療養所でヘレナに会います。彼女は音楽への情熱を持ち続けていますが、病の影響で声が衰えていました。ケイトはヘレナが声を取り戻すための方法を探し、成功を収めます。彼女とヘレナは共にコムコルツグラッドに帰還し、ボロディンとの約束を果たします。

物語の結末

最終的にケイトはハンス・ボラルバーグと出会い、彼との契約を結びます。しかし、彼の旅が終わりを迎える中で、ケイトは心の葛藤を抱えつつ、ハンスと共に新たな冒険に踏み出すことを選びます。

開発の背景

このゲームは、漫画家ブノワ・ソーカルによって18か月かけて創られました。物語の背景には、彼自身の家族にまつわる歴史や、社会主義国の崩壊に関するエピソードが反映されています。『シベリア』は発表後、高く評価され、多数の賞を受賞しており、その独特なアートスタイルやストーリーテリングの手法が、多くのファンを惹きつけています。

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