シベリウス音楽院

シベリウス音楽院：フィンランドが誇る音楽の殿堂

シベリウス音楽院は、フィンランドの首都ヘルシンキに位置する、国内で唯一の音楽大学です。1882年にヘルシンキ音楽院として設立され、1939年にフィンランドを代表する作曲家、ジャン・シベリウスの名を冠して現在の名称となりました。

歴史と概要

1882年の設立以来、シベリウス音楽院はフィンランドの音楽教育の中心的な役割を担ってきました。ヨーロッパでも有数の規模を誇る音楽大学であり、約1700人の学生が在籍しています。

学位

シベリウス音楽院では、音楽修士号（MMus）が主要な学位として授与されます。さらに、芸術および研究分野においては、Licentiate of Arts in Music [Lic.A. (Mus.)]、Doctor of Arts in Music [D.A. (Mus.)]といった大学院課程の学位も取得可能です。

ジュニア・アカデミー

才能あふれる若い音楽家を育成するジュニア・アカデミーは、フィンランド国内の優秀な学童を対象としています。国際的に活躍するフィンランドの音楽家の多くが、ジュニア・アカデミーでその才能を磨いてきました。個々の生徒に合わせたカリキュラムが組まれ、土曜日に開講される授業では、専門楽器の指導に加えて、作曲法、ジャズ、民族音楽、オーケストラ演奏、室内楽、音楽理論なども学ぶことができます。

フィンランドにおける地位と評価

シベリウス音楽院は、フィンランドの音楽界において特別な地位を確立しています。政府の支援を受けているため、国内に競合となる教育機関がほとんど存在せず、優秀な学生が集中する傾向があります。そのため、競争原理の欠如を指摘する声もありますが、音楽院内部の競争は非常に激しく、国際的な音楽コンクールでの優勝者数は、ベルリン芸術大学、英国王立音楽院、モスクワ音楽院、カーティス音楽院など、世界のトップクラスの音楽大学と肩を並べています。

充実した学習環境

シベリウス音楽院には学費がなく、学生は24時間利用可能なグランドピアノ付きのリハーサル室を自由に利用できます。また、器楽を専攻する学生は、週末に開催されるKallio-Kuninkalaでの室内楽に無料で参加することが推奨されています。Kallio-Kuninkalaは、ヘルシンキから約30キロメートル北に位置する歴史的な荘園です。シベリウス音楽院交響楽団は、国内外の著名な指揮者を迎え、定期的に演奏会を開催しており、弦楽器および管楽器の奏者は、毎学期このオーケストラに参加することが義務付けられています。さらに、Helmi VesaピアノコンクールやMaj Lind 国際ピアノコンクールなど、音楽院主催のコンクールも定期的に開催されています。

著名な教師と卒業生

シベリウス音楽院は、数多くの著名な音楽家を輩出してきました。以下はその一部です。

リンダ・ブラーヴァ（ヴァイオリン奏者）
ソイレ・イソコスキ（ソプラノ歌手）
マグヌス・リンドベルイ（作曲家）
カリタ・マッティラ（ソプラノ歌手）
オッリ・ムストネン（ピアノ奏者）
アルト・ノラス（チェロ奏者）
サカリ・オラモ（指揮者）
エサ＝ペッカ・サロネン（指揮者）
カイヤ・サーリアホ（作曲家）
タルヤ・トゥルネン（ソプラノ歌手）

シベリウス音楽院は、フィンランドの音楽文化を牽引し、世界に羽ばたく音楽家を育成する、重要な役割を担っています。

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