カーティス音楽院

カーティス音楽院は、1924年にメアリ・ルイーズ・カーティス・ボックによって設立された、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアにある世界的に有名な音楽大学です。その設立理念は、ウィーン国立音楽大学とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の緊密な関係に倣い、フィラデルフィア管弦楽団に匹敵する高水準の演奏家を育成することにありました。

当初はピアノ、オルガン、声楽、作曲の学科が設置され、現在もこれらの学科に加え、指揮科なども設置されています。連邦政府の奨学金対象校であるとともに、独自の奨学金制度も整備されており、2024年7月現在、全学生が何らかの経済的支援を受けています。そのため、経済的な理由で音楽教育を諦める必要はありません。

しかしながら、入学は非常に困難です。オーケストラやオペラの一団を構成する人数分しか入学を許可していない学科が多く、厳しい選抜が行われます。以前は入学年齢制限がありましたが、現在は撤廃されています。高校卒業資格を持っていない学生は、近隣の高校への併願が推奨され、卒業資格取得までは学士号の授与が保留されます。これは、音楽教育と並行して、基礎的な学力も身につけることを重視しているためです。

カーティス音楽院の教授陣は、世界的に著名な音楽家たちで構成されています。過去には、ピアニストのヨゼフ・ホフマン、作曲家のランダル・トンプソン、ヴァイオリニストのエフレム・ジンバリスト、ピアニストのルドルフ・ゼルキン、オーボエ奏者のジョン・デ・ランシーといった巨匠たちが校長を務めました。また、名指揮者フリッツ・ライナーが1933年から1938年まで指揮科の教授として在籍し、レナード・バーンスタイン、ルーカス・フォス、ワルター・ヘンドルといった後進を育成しました。

そして、カーティス音楽院の卒業生は、世界中の音楽界で活躍する著名な音楽家たちです。例えば、レナード・バーンスタイン、イェフィム・ブロンフマン、ヒラリー・ハーン、ラン・ラン、ユジャ・ワン、そしてサミュエル・バーバーといった作曲家など、その数は枚挙にいとまがありません。彼らの多くは、カーティス音楽院での研鑽がその後の成功の礎となっています。

このように、カーティス音楽院は、高い教育水準と充実した奨学金制度、そして世界的に著名な教授陣と卒業生によって支えられている、世界屈指の音楽教育機関です。厳しい入学基準を突破した学生たちは、そこで得た経験と知識を活かし、世界中の音楽シーンを彩り続けています。その歴史と伝統、そして未来への貢献は、音楽界における揺るぎない存在感を示しています。カーティス音楽院は、これからも多くの才能ある音楽家を育成し、世界に送り出し続けることでしょう。

もう一度検索