シボリ (囲碁)

シボリとは

シボリとは、囲碁において、相手の石をアタリ（次に取れる状態）にして、敢えて自分の石を取らせる一連の打ち方のことです。その後、さらに相手の石をアタリにするのが特徴で、その過程で捨て石を交えることもあります。主に、相手の石を凝り形にして動きを制限し、自身の石を効率的に配置するために用いられます。

この手法は、攻め合いにおいて非常に有効です。相手の手数を減らし、結果的に攻め合いを制するのに役立ちます。ただし、効果の薄いシボリは「西洋シボリ」と揶揄されることもあります。

シボリの実例

小目定石におけるシボリ

小目定石によく見られるシボリの例を見てみましょう。黒1と打って白の石をアタリにし、白2で2つの石を取らせます。次に、黒3と打ち込み、白4で取らせた後、黒5とアテます。これにより、黒は相手の石を団子状に固め、自身の石は外側に展開しやすくなります。この状況で、通常は黒3に対して白はaのあたりに開いて、部分的に落ち着くことが多いです。

シチョウを利用したシボリ

次に、別の例を見てみましょう。黒は白△の2つの石をシチョウ（ハシゴ）で取れないため、このままでは分断されてしまいます。

そこで、黒1と3で白石をアテにし、黒5でゲタの形を作ります。白は6と8で取るしかありませんが、その間に黒は外から7と9でアテて締め付け、強力な外勢を築きます。このように、相手に石を取らせることで、最終的に有利な状況を作り出すのがシボリの狙いです。

石塔シボリ

石塔シボリとは

大斜定石の変化形として現れる「石塔シボリ」と呼ばれる特殊なシボリがあります。図1のように白△に切られると、黒は一見収拾がつかないように見えます。しかし、図2の黒1のように2つの石を捨てることが好手です。白2と取ってきたら、黒3とアテて取らせ、図3のように黒5と打ち込みます。白6に対して黒7とアテてシボリ、その後の手順で黒が攻め合いに勝利します。

このように、二線の石を2つにして取らせ、ダメを詰める手筋を「石塔シボリ」と呼びます。完成した形が、石の塊から塔が伸びているように見えることから、この名前が付けられました。石塔シボリは実戦でもよく見られる手筋です。

実戦での出現例

石塔シボリは、プロの対局でも出現します。例えば、第68期本因坊戦第三局では、この形が出現しました。これは、黒15（図では7）、白16（図では11）で取った局面です。このように、シボリは高度な戦略として、実戦で重要な役割を果たしています。

シボリは、一見すると損をしているように見える手ですが、その後の展開を有利にするための重要な手段です。特に攻め合いの場面では、その効果を発揮します。これらの例から、シボリの奥深さを理解していただければ幸いです。

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