シマトネリコ

シマトネリコ（Fraxinus griffithii）

シマトネリコは、モクセイ科トネリコ属に属する常緑性の高木です。別名として、タイワンシオジ、タイワントネリコ、タイトウシオジ、ケタイトウシオジなどとも呼ばれます。

特徴

シマトネリコは、トネリコ属の中では珍しい常緑樹です。自然分布域は、沖縄県、中国、台湾、フィリピン、インドといった亜熱帯地域です。1990年代以降、気候変動の影響もあり、日本本土でも庭木として利用されることが増えてきました。

外観：

常緑広葉樹の高木であり、株立ちと1本立ちのタイプがあります。
樹皮は灰褐色で滑らかで、小さな皮目が多数見られます。
葉は奇数羽状複葉で、対生します。葉は濃い緑色で光沢があり、小葉の葉身は3〜10cm程度で革質、表面は無毛で光沢があります。葉脈が目立つのが特徴です。
雌雄異株であり、5〜6月頃に緑白色の小さな花を円錐花序につけます。花序は大きく、枝先を覆うほどです。
果実は翼果で、長さ2.5〜3cm程度のへら形をした倒披針形をしています。夏には多数の翼果がつき、樹冠が白く見えることがあります。翼果の中には、細長い赤褐色の種子が入っています。
冬芽は裸芽で、芽鱗がなく、細かい毛が生えたフェルト質で覆われています。

利用

シマトネリコは、庭木、公園木、鉢植えなどとして利用されます。亜熱帯性の植物であるため、関東以南での栽培が適しています。生育は旺盛で、病害虫にも強く、比較的育てやすい樹木です。ただし、成長すると10mを超える高木になるため、庭木として植える場合は、定期的な剪定が必要です。植栽の適期は、3月中旬から下旬、または9月下旬から10月中旬です。

注意点

カブトムシの食害：カブトムシが集まりやすい木として知られていますが、育成業者からはカブトムシによる食害も報告されています。カブトムシが樹皮をかじることで、木が弱る可能性があります。

ハマキムシ、シマケンモンの糞被害：主に8月頃に発生します。

外来種問題：栽培株から飛散した種子が、思わぬ場所で発芽し、国内外来種として問題視されることがあります。東京都環境局は、シマトネリコを緑地における除去対象としており、緑化推進に適さない種に指定している区もあります。

その他

熱帯地方では、家具材として利用されることがあります。
* シマトネリコについたカブトムシが、夜行性であるにもかかわらず昼間も活動を続けるという調査結果が報告されています。

シマトネリコは、美しい樹姿と育てやすさから人気の庭木ですが、植栽場所や管理方法には注意が必要です。

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