翼果

翼果（よくか）とは

翼果（よくか）または翅果（しか）とは、植物の果実の一種で、果皮の一部が翼のように薄く発達したものを指します。この翼のような構造が、風に乗って種子を遠くまで運ぶのに役立ちます。成熟した翼果は乾燥しており、果皮が裂けることなく種子を包み込んだまま散布される閉果です。

翼果の定義

翼果は、果皮の一部が薄く広がって翼状になった果実のことで、この翼によって風に乗りやすくなり、種子散布を助けます。ユリノキ、フサザクラ、カバノキ、ニレ、カエデ、ニワウルシ、トネリコなどが代表的な例です。特にカエデやニワウルシのように、果実が複数に分かれて散布されるものは、分離翼果とも呼ばれます。

ユリノキの場合、多数の雌しべがそれぞれ翼果となり、集合果を形成します。セリ科の植物では、分離した果実の一部が翼状になる例や、ハリエンジュのように果皮自体が風に乗る例、アオギリのように種子がついた心皮が散布される例もあります。

翼果と似た構造

通常、翼果とはみなされないものの、花被や苞といった果実の付属物が翼状になる例も存在します。例えば、スイバやイタドリでは花被が、フタバガキやツクバネウツギでは萼が、サワグルミやシナノキでは苞が翼状に発達します。これらの果実は「偽の翼果（pseudosamara）」と呼ばれることもあります。

翼果の例

ユリノキ属：多数の翼果が集まって集合果を形成します。
フサザクラ：翼状の果皮を持ちます。
カバノキ属：小さな翼果が特徴です。
ニレ属：平たい翼果を持ちます。
カエデ属：2つの翼を持つ分離翼果が一般的です。
ニワウルシ：複数に分かれる分離翼果です。
トネリコ属：細長い翼果を持ちます。
スイバ、イタドリ：花被が翼状になります。
フタバガキ、ツクバネウツギ：萼が翼状になります。
サワグルミ、シナノキ：苞が翼状になります。

翼果の役割

翼果は、植物が種子を遠くに散布するための重要な戦略です。翼を持つことで、風に乗ってより広範囲に種子を散布することができ、植物の生存範囲を広げるのに役立っています。

まとめ

翼果は、果皮の一部が翼状になった特別な果実であり、風を利用して種子を遠くまで運ぶ役割を果たしています。植物の進化における多様な適応の一例であり、その形態は種によって異なります。また、果実の付属物が翼状になる例もあり、植物の多様性を理解する上で重要な要素です。


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参考資料

[コトバンク]]「翼果」: [https://kotobank.jp/word/%E7%BF%BC%E6%9E%9C
Armstrong, W.P. “Fruit Terminology Part 2”. Wayne's Word.

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