シマノジコ

シマノジコ（学名：Emberiza rutila）は、スズメ目ホオジロ科に分類される鳥類です。その名前には「島野」と「路子」の漢字があてられます。全長は13.5センチメートルから14センチメートルほどで、ホオジロの仲間としては比較的小型です。

この鳥の主な繁殖地はロシア南東部で、夏の間をそこで過ごします。秋が深まるにつれて南へ渡り、冬季には中華人民共和国の南部やカンボジア、タイ、ベトナム、ラオスといったインドシナ半島で越冬します。分布域は東アジアから東南アジアにかけて広がっています。日本国内では、繁殖地と越冬地を結ぶ渡りのルート上にあるため、「旅鳥」として観察されることがあります。特に日本海の離島でまれに姿を見せることが知られています。

シマノジコの形態は、オスとメス、そして季節によって異なります。

共通の特徴: 短めの尾羽を持ち、色は黒っぽい褐色です。翼の羽毛も黒褐色をしています。嘴は薄いオレンジ色をしていますが、上側の嘴の根元部分はやや黒ずんでいます。
オスの夏羽: この時期のオスは非常に特徴的で鮮やかな色彩を呈します。頭から胸、さらには背中にかけての上面全体が光沢のある赤褐色に彩られます。一方、胸の下から腹部にかけては明るい黄色い羽毛で覆われます。体の側面には黒い縦縞が目立ちます。翼の羽の縁（羽縁）や、最も大きな雨覆羽（大雨覆）も赤褐色です。
* メスの夏羽: メスはオスに比べて地味な色合いです。体の上面は灰褐色を基調とし、その中に褐色がかった縦縞が入ります。腰の部分はわずかに赤褐色を帯びています。胸から腹部にかけては淡い黄色で、ここに黒い縦縞が見られます。翼の羽縁は淡褐色です。非繁殖期や若鳥はまた異なる羽色をしています。

シマノノジコは、開けた森林の端や、木々がまばらに生える場所、あるいは草原などを主な生息地とします。地面に近い場所で採食したり活動したりすることが多いですが、危険を察知すると、すぐに近くの低い木の枝などに飛び移って身を隠そうとします。

食性は雑食性で、季節や環境に応じて様々なものを食べます。主に昆虫などの小動物や、植物の種子などを採餌します。

繁殖は卵生です。巣は地面の上に作られます。そこに卵を産み、繁殖を行います。

日本では観察機会が少ない鳥ですが、渡りの時期に離島などを訪れる際には、注意深く探してみると、この美しい鳥に出会える可能性があります。

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