シムス級駆逐艦

シムス級駆逐艦

シムス級駆逐艦は、アメリカ海軍の駆逐艦の一つであり、主に1939年から1940年にかけて建造されました。この艦級は、艦名がウィリアム・シムス提督に由来しており、彼の功績を称えるものです。また、シムス級は第二次世界大戦に先立って最後に建造された駆逐艦の艦級でもあります。

概要

この艦級は、ベンハム級駆逐艦を基に設計されており、その船体や兵装、機関の仕様に多くの共通点があります。設計段階では、複数の配置案が考慮された結果、ベンハム級よりもやや拡大した船体として建造されることが決定しました。兵装は、5インチ砲を5基備え、魚雷発射管は初期に3基搭載しました。発射管の配置は、マハン級駆逐艦と同様に、一基を船体の真ん中に、他の二基を両舷側にそれぞれ配置する形です。

就役後、最初の艦であるシムスは、重大な問題点が浮上しました。重量過多が原因で、艦はバランスを欠き、トップヘビーの状態にありました。このため、設計に関しては迅速な見直しが求められ、魚雷発射管の数を見直し、一基を撤去して配置を変更しました。さらには探照灯台の撤去やバラストの追加といった改修も行われ、重量軽減に努めました。この改修は二番艦以降にも反映され、以後の艦は改良を施された状態で就役しました。

戦歴と兵装の変遷

シムス級駆逐艦は当初、大西洋艦隊に配属されましたが、真珠湾攻撃以降、大部分の艦は太平洋戦線に移動しました。最初に転じた艦の中には、ウェインライト、バック、ロウが含まれています。バックはサレルノ沖で敵のUボートに沈められ、ウェインライトとロウは地中海での戦いを経て大西洋に戻り、その後太平洋に派遣されました。各艦は、日本海軍との戦闘に参加し、特にシムスは珊瑚海海戦で沈没しました。

さらにミッドウェー海戦では、ハムマンが沈没し、その後も残る艦は様々な海戦に参加しました。特にウォークは第三次ソロモン海戦で沈没し、多くの艦が厳しい戦闘を経て次々と失われていきました。対空能力も強化され、神風特別攻撃隊の出現後は、魚雷発射管を取り外し、対空火器を増やす改修が行われました。

同型艦

シムス級の艦は、シムスを始めとして、ヒューズ、アンダーソン、ハムマン、マスティン、ラッセル、オブライエン、ウォーク、モリス、ロー、ウェインライト、バックと多くの艦が存在します。これらの艦はいずれも、特定の歴史的人物に因んで名付けられ、それぞれが異なる戦歴を持っています。

まとめ

シムス級駆逐艦は、アメリカ海軍において重要な役割を果たし、様々な戦闘に参加しました。しかし、1946年までに全艦が退役し、現在ではその存在は歴史の中に埋もれています。艦艇の設計や運用上の課題を乗り越えながら、艦隊の一員としての役割を全うした姿は、海軍史上の一ページを飾っています。

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