シムライズ

シムライズ：香りと風味の世界的リーディングカンパニー

シムライズ社（Symrise AG）は、香料、芳香化合物、食品成分を扱うグローバル化学メーカーです。その規模は世界屈指であり、ドイツ・ニーダーザクセン州ホルツミンデンに本社を置き、世界約40カ国で事業を展開しています。日本法人であるシムライズ株式会社も、国内市場において重要な役割を果たしています。フランクフルト証券取引所にも上場しており、その高い企業価値は、長年にわたる技術革新と積極的な事業展開によるものです。

歴史：二つの老舗企業の統合から

シムライズ社の歴史は、1874年創業のHaarmann & Reimer社（H&R）と、1919年創業のDragoco社の歴史に深く根ざしています。両社ともにホルツミンデンに拠点を置き、香料・芳香化合物の分野で長年培ってきた技術とノウハウを誇っていました。

H&R社は、化学者Wilhelm Haarmannらが設立したバニリンの製造工場から始まりました。その後、Karl Reimerの加入により、バニリン合成技術が向上し、イオノンなどの食品香料生産においても大きな成功を収めました。1953年にはバイエルの子会社となり、欧米やラテンアメリカへの事業展開を加速させました。

一方、Dragoco社は、Carl Wilhelm GerberdingとAugust Bellmerによって設立されました。社名は竜を意味する「Drago」に由来し、1930年代から香料・芳香化合物の本格的な生産を開始。1970年代には、香港やシンガポールなどアジアへの進出も果たしました。

2002年、バイエルが保有していたH&R社の株式をEQT（北欧最大の投資ファンド）へ売却。EQTは、Dragoco社の株式も取得し、両社の統合を決定。2003年2月、歴史ある二社の合併により、シムライズ社が誕生しました。

成長とグローバル展開：積極的な買収戦略

2005年には両社の生産体制の統合が完了し、2006年にはフランクフルト証券取引所に上場を果たしました。その後も、シムライズ社は積極的に企業買収を展開し、事業規模の拡大と技術力の向上を図ってきました。

買収した企業には、Kaden Biochemicals GmbH、Steng Ltd.、Manheimer Fragrances Inc.、Intercontinental Fragrances Inc.、Belmay Inc.、Pinova Holdingsなど、香料・芳香化合物、食品成分分野において高い技術力を持つ企業が含まれています。特に2014年にはフランスの投資会社アルディアンからディアナ・グループを買収し、食品成分事業を強化しました。

現在、シムライズ社はFlavor（飲料・甘味部門）、Nutrition（食品成分事業）、Scent & Care（香料・芳香化合物・化粧品成分）の3部門体制で事業を展開しています。アメリカ、ブラジル、フランス、シンガポールなど世界各地に地域本部を置き、グローバルな事業ネットワークを構築しています。

日本におけるシムライズ

日本法人のシムライズ株式会社は、Dragoco社の日本法人「株式会社ドラゴコ・ジャパン」を前身としています。本国での合併に伴い設立され、東京にオフィス、茨城県稲敷市に工場を構え、日本市場への貢献を続けています。

まとめ

シムライズ社は、1世紀以上にわたる歴史と技術革新、そして積極的な買収戦略によって、香料・食品成分業界の世界的リーダーへと成長を遂げました。今後も、革新的な製品開発とグローバルな事業展開を通じて、世界の食文化と生活に貢献していくことが期待されます。

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