シャイアー (企業)

シャイアー（Shire plc）

シャイアーは、武田薬品工業の子会社であり、主に希少疾患に関連する医薬品の研究、開発、製造を手がける製薬・バイオテクノロジー企業です。設立は1986年で、イギリスのハンプシャー州ベイジングストークにて、4人の起業家が集まり誕生しました。現在、シャイアーの本社はアイルランド・ダブリンにあり、登記上の本店はチャンネル諸島のセント・ヘリアに位置しています。

設立背景と初期の医薬品

最初に開発された医薬品は骨粗鬆症治療用の「Calcichew-D3」で、その後、血液、免疫、神経科学、腫瘍等の各分野においても製品群が展開されるようになりました。1996年にはロンドン証券取引所に上場を果たし、企業としての成長を加速させました。特に2008年には新たな課税制度が導入されたことを受けて、拠点をベイジングストークからダブリンに移転させる動きがありました。ダブリンは、企業の主要な機能を持つ拠点となり、アメリカのレキシントン、スイスのツークなどにも多国籍企業の色彩を加えていきました。

積極的な企業買収戦略

シャイアーは、希少疾患に特化した医薬品を強化するため、戦略的な企業買収を行ってきました。1990年代後半から2000年代にかけて、Pharmavene、Richwood Pharmaceutical、BioChem Pharmaceuticalなど、数多くの企業を買収し、その後もTranskaryotic Therapies Inc.やNew River Pharmaceuticals Inc.、さらにはAdvanced BioHealing Inc.などを加え、強力な製品ポートフォリオを築いていきました。2016年には、バクスターのスピンオフ企業であったバクスアルタを買収し、日本法人もシャイアーに統合されました。

武田薬品工業による買収

2018年、武田薬品工業がシャイアーの買収に動き、初めに410億ポンドの提案を行いました。その後、提案額を増額し、458億ポンドで合意に至り、12月に臨時株主総会で承認され、日本のM&A史上で最高額となる約6.8兆円の買収が成立しました。2019年には買収手続きが完了し、シャイアーは正式に武田の子会社となりました。これにより、武田は連結売上高が3兆円を超える大型の製薬企業となりました。

日本におけるシャイアーの発展

日本市場においては、シャイアーは2008年に事務所を開設し、2013年に東京に日本法人を設立しました。しかし、2019年の武田薬品工業への買収後、日本法人も武田の完全子会社となり、2020年には吸収合併されました。特に、自社製品であるADHD治療剤「インチュニブ・ビバンセ」は、シャイアーと塩野義製薬間でのライセンス契約に基づき実績を重ね、買収後も両社の協力のもとでプロモーションが続けられていましたが、2022年10月に武田が単独で行うことが発表されました。

終わりに

シャイアーは、その革新的な製品と戦略的な成長によって、希少疾患治療におけるリーダーとしての地位を確立しています。今後も新たな製品開発を通じて、患者に対する貢献を期待されている企業です。

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