シャハーダ

シャハーダ：イスラム教の信仰告白

シャハーダ（ شهادة Shahāda ）は、イスラム教における最も重要な信仰告白であり、五行の一つに数えられます。これは、アラビア語で「アッラーの他に神はなし。ムハンマドはアッラーの使徒である。」と唱えることで、イスラム教徒であることの表明となります。サウジアラビアの国旗にもこの文言が記されており、イスラム世界において非常に重要な意味を持っています。

シャハーダの構成と意味

シャハーダは二つの部分から構成されています。

1. 「アッラーの他に神はなし」: この部分は、唯一[[神]]であるアッラーフのみを信仰することを宣言しています。イスラム教の解釈では、この宣言はユダヤ教やキリスト教など、他の唯一[[神]]教も包含する概念であるとされます。ただし、日本人ムスリムの中田考氏によれば、この文は神が時間や空間に制約されない存在であることを前提とし、アッラーフのみがその例外であるという留保規定の意味を持つと解釈されています。

2. 「ムハンマドはアッラーフの使徒である」: この部分は、ムハンマドがアッラーフによって派遣された最後の預言者であり、イスラム教の教えを広めるために選ばれた使徒であることを表明します。この宣言は、ムハンマドを預言者として認めることで、イスラム教徒としてのアイデンティティを明確にする意味があります。

信仰告白としての機能

シャハーダは、上記の二つの部分を合わせて宣言することで、アッラーフのみを信仰する唯一[[神]]教徒であり、イスラム教徒であるという二つの点を同時に表明します。この宣言は、イスラム教に入信するための最低限の条件とされており、ムスリム（イスラム教徒）の前で、通常はモスクにおいて宗教指導者の立ち会いのもと、アラビア語で唱えることが求められます。

シャリーア（イスラム法）によると、入信の際には、最低でも二人の敬虔で公正な男性イスラム教徒が証人として立ち会う必要があります。シャハーダをアラビア語で唱えることによって、その瞬間からイスラム共同体（ウンマ）の一員として迎え入れられます。

アラビア語の文言と発音

シャハーダのアラビア語の文言は以下の通りです。

أَشْهَدُ أَنْ لَا إِلَٰهَ إِلَّا ٱللَّٰهُ وَأَشْهَدُ أَنَّ مُحَمَّدًا رَسُولُ ٱللَّٰهِ

発音記号通り：ʾashhadu ʾan lā ʾilāha ʾilla-llāhu wa ʾashhadu ʾanna Muḥammadan rasūlu-llāh
実際の発音：ʾashhadu ʾallā ʾilāha ʾilla-llāhu wa ʾashhadu ʾanna Muḥammadar rasūlu-llāh
発音記号通りの発音：アシュハド(ゥ)・アン・ラー・イラーハ・イッラ・ッラーフ・ワ・アシュハド(ゥ)・アンナ・ムハンマダン・ラスール・ッラー(ヒ)
同化による実際の発音：アシュハド(ゥ)・アッ・ラー・イラーハ・イッラ・ッラーフ・ワ・アシュハド(ゥ)・アンナ・ムハンマダッ・ラスール・ッラー(ヒ)

上記の「イッラー・ッラーフ」や「ラスール・ッラーヒ」は、アッラーフという名称の語頭の「ア」が脱落したものです。

信仰告白が使用される国旗と国章

イスラム圏の国や組織の旗や紋章には、シャハーダが記されているものがいくつかあります。特にサウジアラビアの国旗は、聖句であるシャハーダが記されているため、独自の決まりがあります。例えば、国旗の裏面がない、縦掲揚時には正しい向きの専用旗を用いる、半旗にしないなどの特別なルールが設けられています。

シーア派におけるシャハーダ

上記のシャハーダの文言はスンナ派のものであり、シーア派ではシャハーダやアザーンの際に以下の文言が追加されます。

أَشْهَدُ أَنَّ عَلِيًّا وَلِيُّ اللهِ

ʾashhadu ʾanna ʿalīyan walīyu-llāh(i)
アシュハド(ゥ)・アンナ・アリーヤン・ワリーユ-ッラー(ヒ)
「わたしはアリーがアッラーフのワリーであることを証言する」

まとめ

シャハーダは、イスラム教徒としてのアイデンティティの中核をなす重要な信仰告白です。この言葉は、イスラム教の基本である唯一[[神]]への信仰と、預言者ムハンマドへの信頼を表明するものであり、イスラム教徒として生きるための基盤となっています。

関連項目

信仰告白
* ウィキメディア・コモンズには、シャハーダに関するカテゴリがあります。

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