シャヘド171シームルグ

シャヘド171シームルグ（Shahed 171 Simorgh）

シャヘド171シームルグ、またはS-171は、イランのシャヘド航空産業が開発した全翼型無人戦闘航空機（UCAV）です。この機体は、2011年にイランが鹵獲したアメリカ製のRQ-170を基にしており、そこからリバースエンジニアリングによって設計されています。シームルグという名前は、ペルシャ神話に登場する慈悲深い鳥に由来しており、その名称はパフラヴィー語の「sēnmurw」に根ざしています。

設計と特徴

シームルグは、RQ-170の特性を最大限に活かす形で設計されており、特に誘導ミサイルを搭載する能力を持つ点が特徴です。機体の外装には主にグラスファイバーが使用されており、軽量化と耐久性が図られています。なお、シームルグは様々なバリエーションが存在するとされており、その一部はミサイルを4発搭載する設計となっていますが、具体的な情報は公開されていない部分が多いのが現状です。

シームルグは、2014年から実際に製造が開始され、同年内に少なくとも2機が製造中であるとの情報が確認されています。さらに、イランは2015年3月までに追加の4機を配備する計画を発表していました。2020年にはゾルファガー99合同演習で実弾にて運用されたこともあり、その戦闘能力が一定程度明らかになっています。

運用状況

アメリカ政府の情報によると、イマームホセイン大学に関連する企業であるパラヴァル・パルス社が、シャヘド171の開発において重要な役割を担っています。シームルグは、2015年5月に初めて目撃され、その後2016年10月にイランのテレビにて飛行する姿が公開されました。特に、軍事専門家たちはこの機体がカシャン空軍基地に配備されていると予測しています。

しかし、2018年5月時点において、シームルグが実戦で使用された形跡は確認されておらず、計画は事実上の中止状態にあると見られています。また、同年2月にはシリアにおけるイスラエルとの衝突で、シームルグに似た機体が撃墜されたとの報告もありますが、これはサーエゲと呼ばれる別の機体である可能性もあるため、その詳細は明らかではありません。

運用者

この無人航空機は主にイランイスラム革命防衛隊航空宇宙軍によって運用されており、その開発や運用に関する情報は主にイラン国内に留まっています。民間の情報源では、追加の類似機体として、ロッキード・マーティンのRQ-170やサーエゲなどが挙げられており、特に運用の目的や設計が類似する機体としてしばしば比較されています。

シームルグの将来的な運用や開発は、地域の安全保障環境や技術の進展によって影響を受け続けることが予想されます。そのため、今後の動向については注視が必要です。

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