シャマフ天体物理天文台

シャマフ天体物理天文台（Shamakhy Astrophysical Observatory、ANAS ShAO）は、アゼルバイジャン国立科学アカデミーが運営する天文台です。1959年11月17日に設立され、大コーカサス山脈の北東斜面に位置しています。天文台の名前は、13世紀のペルシア人天文学者ナスィールッディーン・トゥースィーに由来しますが、所在地がシャマフ市であるため、他言語では一般的にシャマフ天文台として知られています。

歴史

1920年代からアゼルバイジャン各地で天文学調査が行われ、天文台の設置場所が検討されました。1953年には、シャマフ地区のピルクリ山東部に観測基地が建設され、天文台の設置計画が具体化しました。1954年には、アゼルバイジャン科学アカデミーの物理数学研究所内に天体物理学部門が設立され、天文台の建設と運営が開始されました。1960年以降、アゼルバイジャンは独立した科学研究機関として組み込まれ、現在に至ります。

天文台の設立には、H・F・スルタノフが多大な貢献を果たしました。彼は1960年から1981年まで台長を務め、天文台の初期の発展に尽力しました。創設期には、天文観測に加えて、望遠鏡や観測機器の整備、職員の研修、天文台の設計などが行われました。M・M・アリエフ、Y・H・マンマダリエフ、H・M・アブドゥラエフ、R・E・フセイノフ、H・C・マンマドベイリなどの科学者が天文台の創設と開発に貢献しました。また、モスクワ国立大学、サンクトペテルブルク大学、プルコヴォ天文台、クリミア天文台などの研究機関からも多くの科学者が協力しました。

観測環境

天文台は、ピルクリ山の東部、首都バクーから約150km離れた場所に位置しており、標高は1435mから1500mです。年間150日から180日は晴天に恵まれ、天体観測に適した環境です。

望遠鏡

シャマフ天文台には、様々な観測機器が設置されています。

2m反射望遠鏡: 1966年に運用を開始したカール・ツァイス・イエナ社製の反射望遠鏡で、主鏡の直径は2mです。この望遠鏡は、ダレスト彗星の光の偏光測定に使用されたことで知られています。
AZT-15 望遠鏡: レンズ径1メートルのシュミット式望遠鏡ですが、主焦点の不具合のため、まだ設置されていません。天文台は、ロシア科学アカデミーと協力して、この望遠鏡の設置を計画しています。

その他の観測設備

真空装置: 2007年に導入されたドイツ製の真空装置を使用して、望遠鏡の鏡の表面にアルミニウムを蒸着しています。
極低温設備: 2012年には、CCD光受信機の冷却に使用する液体窒素を製造する極低温設備が導入されました。
2m反射望遠鏡の付帯設備: 主焦点には、3チャンバー2回折分光器が設置されています。微弱な天体のスペクトル観測には、2x2プリズム付きキャンベラ分光器、CCD光度計BVRc、UAGS + Canon + CCD Andorなどが使用されています。また、カセグレン焦点には、中解像度分光器、高解像度光ファイバー分光器（SHAFES）、クーデ焦点エシェル分光器が設置されています。
ツァイス600望遠鏡: CCD光度計が設置され、BVRcICシステムで動作します。セレストロンF/6.3フォーカスリデューサーを装備しています。
ASP-20分光器: ASGシーロスタットが使用されています。
対物プリズム: AST-452望遠鏡には、屈折角15˚と35˚40'の2つの対物プリズムが装備されています。

研究活動

シャマフ天文台では、天体物理学、天文学、宇宙科学など幅広い分野の研究が行われています。特に、星の形成と進化、銀河の研究、宇宙論、太陽系天体の研究などが重点的に行われています。

出版物

天文台は、アゼルバイジャン天文学ジャーナルという英語の学術雑誌を発行しています。

外部リンク

* アゼルバイジャン語、英語'>公式ウェブサイト)

シャマフ天文台は、アゼルバイジャンにおける天文学研究の中心的な役割を果たしており、国際的な研究協力も積極的に行っています。

もう一度検索