ダレスト彗星

ダレスト彗星 (6P/d'Arrest)

ダレスト彗星は、1851年6月28日にドイツの天文学者ハインリヒ・ダレストによって発見された周期彗星です。約6.56年の周期で太陽の周りを公転しており、その軌道は楕円形を描いています。ダレスト彗星の軌道長半径は3.5 au、近日点は1.36 au、遠日点は5.65 auであり、軌道離心率は0.61です。

観測史

ダレスト彗星は、1851年の発見以来、何度も近日点を通過しており、その軌道は詳細に観測されてきました。1976年8月12日には地球に0.15124 auまで接近し、観測の好機となりました。

過去の近日点通過日（1678年の記録は除く）は以下の通りです。

1851年7月9日
1857年11月28日
1864年2月26日 (観測できず)
1870年9月23日
1877年5月10日
1884年1月14日 (観測できず)
1890年9月18日
1897年5月23日
1904年1月29日 (観測できず)
1910年9月16日
1917年4月2日 (観測できず)
1923年9月15日
1930年5月10日 (観測できず)
1937年1月8日 (観測できず)
1943年9月22日
1950年6月6日
1957年2月12日 (観測できず)
1963年10月23日
1970年5月18日
1976年8月12日
1982年9月14日
1989年2月4日
1995年7月27日
2002年2月3日
2008年8月14日
2015年3月2日

2015年3月2日の近日点通過時には、地球からの見かけの角度が小さく、観測には不向きな状況でした。しかし、2021年9月17日には再び近日点を通過することが予測されており、その際の明るさは10等級程度になると予想されています。また、2028年3月31日、2034年10月11日、2041年3月30日、2047年7月31日、2053年9月20日、2060年4月8日、2060年11月10日、2073年6月29日、2080年2月16日、2086年10月8日、2093年5月30日、2100年1月7日、2106年8月3日にも近日点通過が予測されています。

1678年の観測記録との関連

興味深いことに、1991年にAndrea Carusi、Giovanni B. Valsecchi、Ľubor Kresák、Margita Kresákováらは、1678年にフィリップ・ド・ラ・イールによって観測された天体が、ダレスト彗星と同一の天体ではないかという説を提唱しました。もしこれが事実であれば、ダレスト彗星の観測史はさらに遡ることになります。しかし、この説はまだ議論の余地を残しています。

物理的特徴

ダレスト彗星の核の直径は、約3.2 kmと推定されています。これは、彗星としては中程度の大きさです。彗星の核は氷や塵で構成されており、太陽に近づくにつれて蒸発し、尾を形成します。

探査計画

過去には、ダレスト彗星を探査する計画も存在しました。2002年に打ち上げられたアメリカの彗星探査機CONTOURは、ダレスト彗星を訪れる予定でしたが、探査機との通信が失われたため実現しませんでした。また、2007年頃には、彗星表面のサンプルリターンミッション(CSSR)の候補天体の一つとしてダレスト彗星が検討されました。しかし、最終的にはチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が選ばれ、探査機CAESARが計画されています。

まとめ

ダレスト彗星は、その周期的な軌道と過去の地球への接近から、天文学者にとって重要な研究対象となっています。今後も観測と研究が進められることで、彗星の起源や組成、太陽系形成の謎を解き明かす手がかりとなることが期待されます。

関連情報

6P d'Arrest - JPL Small-Body Database
ダレスト彗星 - 小惑星センター
* 吉田誠一のホームページ

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