シャルトル聖パウロ修道女会

シャルトル聖パウロ修道女会

シャルトル聖パウロ修道女会（Soeurs de Saint Paul de Chartres、略称：S.P.C.）は、イタリアのローマに総本部を構えるカトリック教会所属の女子修道会です。現在、世界およそ40か国で、約4,200名の修道女が多岐にわたる活動を展開しています。

沿革

会の起源は17世紀末のフランスに遡ります。1694年、ルイ・ショーヴェ神父が南フランスのペルテュイから、パリ近郊シャルトル地方の小さな村、ルヴェヴィルに着任しました。

当時のフランスは絶対王政の時代であり、多くの村人たちが困難な生活を送っていました。ショーヴェ神父はこうした状況を目の当たりにし、村の若い女性たちを育成することを決意します。彼女たちは、読み書きや手仕事、そしてイエス・キリストの教えを子どもたちに伝える宣教者としての役割を担うことになりました。

1696年には、ショーヴェ神父の志に賛同したマリ・ミショーやバルブ・フコーといった数名の未婚女性たちが集まり、祈りと労働（特に手芸）を中心に生活を共にしながら、子どもたちの教育や病人の看護を行う共同体が誕生しました。

1708年、共同体は活動拠点をルヴェヴィルからシャルトルに移し、正式に「シャルトル聖パウロ修道女会」という名称を用いるようになりました。その後、1727年にはフランス王国政府からの要請を受け、フランス領ギアナへの宣教を開始したことを皮切りに、その活動範囲は全世界へと拡大していきました。

日本における歩み

日本への最初の足跡は1878年（明治11年）に記されました。同年5月28日、北緯使徒座代理区長であったピエール・マリー・オズーフ司教の要請に応じる形で、修道会から派遣されたスール・マリ・オウグスト、スール・マリ・オネジム、スール・カロリーヌの3人の修道女が函館に到着しました。これにより、日本における修道会の宣教、教育、そして社会福祉活動が始まりました。

その後、教育活動は特に発展し、1886年（明治19年）には聖保禄女学校を開校。これが現在の函館白百合学園へと繋がっています。

現在の活動

シャルトル聖パウロ修道女会は、日本管区本部を東京都千代田区九段北（学校法人白百合学園の所在地と同じ）に置いています。日本国内には東日本を中心に12か所の支部修道院があり、これらを拠点として活動を展開しています。

宣教

修道女たちは、自身の運営する教育や福祉の施設での活動に加え、各地の小教区教会での奉仕、聖書クラスやカトリックの教えを伝える要理教育に積極的に携わっています。また、日本管区からイタリアのローマやアフリカのカメルーンへ会員を派遣するなど、国際的な宣教活動にも貢献しています。

福祉

社会福祉の分野では、主に子どもたちの養育に取り組んでいます。北海道函館市にある乳児院「さゆり園」では、0歳から2歳または3歳までの乳幼児をケアしています。また、熊本県八代市にある児童養護施設「八代ナザレ園」では、2歳から18歳までの子どもたちの生活を支え、成長を見守っています。

教育

修道会の教育精神は、関連する学校法人を通じて広く継承されています。学校法人白百合学園は、東京都、仙台市、盛岡市、函館市、八代市において、大学、高等学校、中学校、幼稚園などを運営しています。また、神奈川県には学校法人函嶺白百合学園と学校法人湘南白百合学園があり、こちらも幼稚園（湘南のみ）、小学校、中学校、高等学校などを運営しており、多岐にわたる教育機会を提供しています。

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