シャルム・エル・シェイク

シャルム・エル・シェイク:紅海の宝石と国際舞台



シャルム・エル・シェイクは、エジプトのシナイ半島南部に位置する、紅海に面した国際的なリゾート都市です。その美しい海岸線と豊かな海洋生物は、世界中のダイバーを魅了し、スキューバダイビングの名所として広く知られています。5万人を超える人口を抱え、ヨーロッパ中東各国からの観光客が年間を通して訪れる一大観光地となっています。多くの国際線、チャーター便が就航しており、アクセスも良好です。

戦略的要衝から国際都市へ

かつては小さな漁村だったシャルム・エル・シェイクは、アカバ湾への入り口であるティラン海峡の戦略的な位置から、エジプト海軍の基地が置かれ、幾度となく戦火に見舞われてきました。スエズ危機や第三次中東戦争ではイスラエル軍による占領を経験し、その歴史は幾多の紛争と平和交渉と深く関わっています。1979年エジプト・イスラエル[[平和条約]]締結後、シナイ半島がエジプトに返還されると、イスラエルが建設したリゾート施設などを基に、大規模な観光開発が進められました。

イスラエルによる開発は、シャルム・エル・シェイクの変貌に大きな役割を果たしました。イスラエルは占領中に「オフィラ」というユダヤ人入植地を建設し、ナーマ湾周辺にリゾートホテルやダイビングクラブを整備しました。エジプト政府は返還後もこのインフラを活用し、旧オフィラ空軍基地を改修してシャルム・エル・シェイク国際空港を建設。中東ヨーロッパからの観光客を迎え入れる高級リゾート地へと成長を遂げました。

国際会議の開催地としての役割

現在では、その立地と優れた施設から、国際会議の開催地としても重要な役割を果たしています。2022年には、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催され、世界的な注目を集めました。また、中東平和や紛争解決に関する国際会議や首脳会談も数多く開催されており、国際的な外交の舞台としても重要な位置を占めています。エジプトとイスラエル間の関係改善の象徴として、2021年にはエジプト大統領とイスラエル首相の会談が、2022年にはエルアル・イスラエル航空によるテルアビブとの直行便が開設されるなど、近年の地政学的変化にも重要な役割を果たしています。

観光と安全

一大観光地であるシャルム・エル・シェイクは、エジプト国内でも比較的治安が良い地域として知られていますが、テロの脅威にさらされてきた歴史もあります。2005年のテロ事件以降、道路検問の強化や観光施設への厳重な警備体制が敷かれています。シナイ半島におけるイスラム過激派の活動への対策として、近年では大規模な防護壁の建設も進められています。これらの取り組みは、貴重な観光収入を維持し、国民の安全を守るために行われています。

ムバラク元大統領が愛した都市としても知られ、その私邸は彼の政治的転落後も滞在場所となりました。シャルム・エル・シェイクは、エジプトの近代史、そして中東平和と発展を象徴する重要な都市と言えるでしょう。

アクセス

航空: シャルム・エル・シェイク国際空港カイロから約1時間)
道路: 国道35号線
* : シャルム・エル・シェイク港、ナーマ港

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