シャルリー・ゴール

シャルリー・ゴール：山岳を制した伝説のサイクリスト

シャルリー・ゴール（Charly Gaul、1932年12月8日 - 2005年12月6日）は、ルクセンブルクが生んだ不世出の自転車競技選手です。特に山岳コースでの圧倒的な強さから「山岳の天使」（Angelo della Montage）と讃えられ、ロードレース史にその名を深く刻みました。悪天候にめっぽう強く、数々の過酷なレースで勝利を掴んだ彼の姿は、多くの人々に感動を与えました。

プロとしての輝かしいキャリア

1949年に自転車競技選手としてのキャリアをスタートさせ、1953年から1965年までプロとして活躍しました。早くも1954年の世界自転車選手権プロ・ロードで3位入賞を果たし、翌1955年のツール・ド・フランスでは総合3位と、その才能を開花させます。

1956年のジロ・デ・イタリアは、彼の名を一躍世界に知らしめることになります。猛吹雪に見舞われ、40人以上がリタイアする極限状態となった第21ステージ。ゴールは14位から驚異的な追い上げを見せ、一気に首位に躍り出ました。最終的には、総合2位のフィオレンツォ・マーニに3分27秒の差をつけ、見事総合優勝。同時に山岳賞も獲得し、その実力を証明しました。

1958年のツール・ド・フランスでも、ゴールの活躍は続きます。終盤の第21ステージ・個人タイムトライアルで勝利し、総合順位を大きく変動させます。それまで首位だったヴィト・ファヴェロを逆転し、総合優勝を掴み取りました。ファヴェロとの差は3分10秒でした。

翌1959年のジロ・デ・イタリアでは、ジャック・アンクティルとの激しい戦いを繰り広げました。序盤からアンクティルと激しく競り合いましたが、終盤の第21ステージでアンクティルからマリアローザを奪い、最後はアンクティルに6分12秒の差をつけて2度目の総合優勝。さらに山岳賞も獲得し、完全勝利を飾りました。

国内での活躍と国民的英雄

国際的な舞台での活躍に加え、ゴールはルクセンブルク国内選手権でも6回の優勝（1956年～1957年、1959年～1962年）を果たしています。1954年に創設されたルクセンブルク スポーツマンオブザイヤーの初代受賞者であり、都合4回も同賞を受賞しました。また、ジロ・デ・イタリアでは2度の山岳賞を獲得しましたが、ツール・ド・フランスでも2回（1955年、1956年）山岳賞に輝いています。

主な戦績

1954年：世界自転車選手権プロ・個人ロードレース 3位、ルクセンブルク スポーツマンオブザイヤー
1955年：ツール・ド・フランス 総合3位、山岳賞、ルクセンブルク スポーツマンオブザイヤー
1956年：ジロ・デ・イタリア 総合優勝、山岳賞、ツール・ド・ルクセンブルク 総合優勝、ツール・ド・フランス 山岳賞、ルクセンブルク国内選手権 優勝、ルクセンブルク スポーツマンオブザイヤー
1957年：ルクセンブルク国内選手権 優勝、ジロ・デ・イタリア 総合4位
1958年：ツール・ド・フランス 総合優勝、ジロ・デ・イタリア 総合3位、ルクセンブルク スポーツマンオブザイヤー
1959年：ジロ・デ・イタリア 総合優勝、山岳賞、ツール・ド・ルクセンブルク 総合優勝、ルクセンブルク国内選手権 優勝
1960年：ルクセンブルク国内選手権 優勝、ジロ・デ・イタリア 総合3位
1961年：ツール・ド・ルクセンブルク 総合優勝、ルクセンブルク国内選手権 優勝、ツール・ド・フランス 総合3位、ジロ・デ・イタリア 総合4位
* 1962年：ルクセンブルク国内選手権 優勝

シャルリー・ゴールの活躍は、ルクセンブルク国民に大きな誇りを与え、自転車競技界に多大な影響を与えました。彼の不屈の精神と才能は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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