山岳賞

自転車ロードレースにおける山岳賞：頂点を制するクライマーの栄誉

自転車ロードレースにおける山岳賞は、単なるスピードだけではない、クライマーとしての卓越した能力を証明する称号です。レースのコースに設定された山岳ポイントを巡り、選手たちは己の脚力と戦略を駆使して頂点を目指します。

山岳賞とは

山岳賞は、自転車ロードレースにおいて、コース上に設けられた山岳ポイントの獲得数を競う部門賞です。総合成績とは別に、山岳区間での活躍に焦点を当てた賞であり、特に山岳地帯を通過するレースでは、その重要性が際立ちます。山岳賞を獲得した選手は「山岳王」とも呼ばれ、クライマーとしての名誉を手にします。

ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアといった主要なレースでは、1933年から山岳賞が設けられ、現在では多くのレースで実施されています。ステージレースにおいては、総合優勝争いと並び、山岳賞争いも大きな注目を集めます。稀に、同一選手が総合優勝と山岳賞の両方を獲得することもあり、これは偉業として称えられます。

山岳ポイントとカテゴリー

山岳ポイントは、コース上の峠の頂上付近に設定された山岳賞地点を、選手が通過する順位に応じて与えられます。山岳賞地点には難易度に応じてカテゴリーが設けられており、最も難易度の高い地点は「カテゴリー超級」とされます。以下、難易度に応じて1級、2級、3級、4級と区分されます。

各カテゴリーのポイントは難易度に応じて異なり、超級のポイントが最も高く設定されています。完走した選手の中で、最も多くのポイントを獲得した選手が山岳賞を受賞し、「山岳王」の称号を得ます。

各カテゴリーの目安は以下の通りですが、レース主催者が独自の判断で決定するため、統一的な基準はありません。

超級: 標高差1000〜1500m以上
1級: 標高差600〜800m以上
2級: 標高差400m以上
3級: 標高差150〜200m以上
4級: それ以下（主催者の判断に委ねられる）

勾配の厳しさやコース中の位置も考慮され、平均勾配4〜5%以上、最大6.5%以上であることが一般的です。特にジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャでは、20%を超える非常に厳しい勾配の区間が登場することもあります。

著名な山岳王

数々の名クライマーたちが、山岳賞の栄誉をかけて激闘を繰り広げてきました。以下に、グランツールにおける山岳賞獲得回数上位の選手を紹介します。

フェデリコ・バーモンテス（スペイン）：9回
ツール・ド・フランス 6回（1954, 1958, 1959, 1962, 1963, 1964）
ジロ・デ・イタリア 1回（1956）
ブエルタ・ア・エスパーニャ 2回 （1957, 1958）
ジーノ・バルタリ（イタリア）：9回
ツール・ド・フランス 2回（1938, 1948）
ジロ・デ・イタリア 7回（1935, 1936, 1937, 1939, 1940, 1946, 1947）
ルシアン・バンインプ（ベルギー）：8回
ツール・ド・フランス 6回 （1971, 1972, 1975, 1977, 1981, 1983）
ジロ・デ・イタリア 2回（1982, 1983）

また、フェデリコ・バーモンテスとルイス・エレラは、全グランツールで山岳賞を獲得した、わずか2名の選手です。

関連項目

ツール・ド・フランス
ジロ・デ・イタリア
ブエルタ・ア・エスパーニャ
グランツール
ポイント賞
* カテゴリー超級 (ツール・ド・フランス)

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