シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン

シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン（Charles Louis Alphonse Laveran, 1845年6月18日 - 1922年5月18日）は、フランスの著名な病理学者であり、1907年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことでその名を知られています。彼の研究は、特にマラリア原虫の発見において医学界に大きな影響を与えました。

生涯

ラヴランは、フランスのパリで生まれました。彼の父親は陸軍の外科医であり、その影響からラヴランも医学の道に進むことになります。パリで基礎を学んだ後、ストラスブール医科大学で医学を修め、1867年に卒業しました。卒業後まもなく、普仏戦争が開戦したため、陸軍の外科医として従軍しました。その後、アルジェリアをはじめとする各地の軍の駐屯地を転々としながら、医療活動に従事しました。1896年に軍を退役すると、パリのパスツール研究所に入所し、研究活動に専念しました。

ラヴランの最も重要な功績は、マラリア原虫を発見したことです。この発見は、1880年に彼がマラリア患者の血液を顕微鏡で観察した際に、赤血球内部に黒い粒状の原生動物を発見したことに端を発します。彼は、この原生動物がマラリアの原因であることを突き止め、その成長過程や赤血球を破って血液中に放出される様子を詳細に観察しました。この発見は、当時マラリアの原因と考えられていた「沼地の悪い空気」説を覆し、マラリアが感染症であることを科学的に証明する画期的なものでした。この業績により、ラヴランは1895年にコテニウス・メダルを受賞し、さらに1907年にはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼は、ノーベル賞の賞金をパスツール研究所内に熱帯医学研究室を設立するために投じ、後進の研究者を育成しました。1908年には、外来性病理学協会を設立し、病理学の発展に貢献しました。そして、パリで生涯を終えました。

研究と発見

ラヴランがマラリアの研究を始めたきっかけは、1878年から1883年まで軍医として赴任していたアルジェリアでマラリアが流行していたことでした。当時、マラリアの原因は沼地の悪い空気であると考えられていましたが、ラヴランはマラリア患者の血液を顕微鏡で観察し、赤血球内部に黒い粒状の物体を発見しました。彼はこの粒が原生動物であることを突き止め、マラリア原虫と命名しました。彼は連続的に採血した血液を観察することで、原虫が赤血球内で成長し、最終的に胞子を形成することを発見しました。また、この胞子が赤血球を破って血液中に放出される時期と患者の体温が急上昇する時期が一致することも発見し、マラリアの発症メカニズムを解明する上で重要な貢献をしました。

ラヴランの研究は、マラリアの病因解明に貢献しただけでなく、他の熱帯病の研究にも大きな影響を与えました。彼は、内臓リーシュマニア症の原因となるドノバンリーシュマニアや、ツェツェバエによって感染するアフリカ睡眠病（トリパノソーマ症）についても研究を行いました。

著書

ラヴランは、自身の研究成果をまとめた著書も残しています。

『軍隊における疾病と流行病』(Traité des maladies et épidémies des armées, 1875年)
『トリパノソーマとトリパノソーマ症』(Trypanosomes and trypanosomiasis, 1904年)

外部リンク

* Alphonse Laveran Facts - Nobel Foundation

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