シャルロット・ダラゴン

シャルロット・ダラゴン＝ナプルは、15世紀後半にナポリ王国の王女として誕生しました。彼女の父はナポリ王フェデリーコ1世、母はサヴォイア公アメデーオ9世の娘アンナです。しかし、シャルロットは誕生と同時に母を亡くし、フランス王シャルル7世を曾祖父に持つという縁から、フランス宮廷で養育されることになりました。

1499年、従姉であるサヴォイア公夫人ヨランダの死去に伴い、シャルロットは名目上のエルサレム王位請求権を受け継ぎました。この頃には、多くの求婚者が彼女の元に現れ、その中にはヴァランティノワ公チェーザレ・ボルジアも含まれていましたが、彼女はこれらの求婚をすべて拒否しました。

1500年6月10日、シャルロットはブルターニュ公国の大領主の1人であるラヴァル伯ギー16世と結婚しました。彼女は夫との間に3人の子をもうけましたが、その後、早世しました。彼女の早すぎる死は、多くの人々に惜しまれました。

1501年、シャルロットの父であるフェデリーコ1世は、同族のアラゴン王フェルナンド2世によってナポリ王位を奪われ、亡命先のフランスで亡くなりました。その後、フェデリーコ1世の息子で後継者のカラブリア公フェルディナンドが1550年に亡くなると、シャルロットの次女アンヌの子孫は、カラブリア公が主張しなかったものの、潜在的に有していたはずのナポリ王位（及びエルサレム王位）請求権を引き継いだと主張し始めました。また、ナポリ王位継承者が帯びるターラント公の称号も名乗りました。これは、彼女の血筋が、ナポリ王位の潜在的な継承権を持つことを意味していました。

シャルロットの子孫は以下の通りです。

フランソワ（1503年 - 1522年）：ビコッカの戦いで戦死。
カトリーヌ（1504年 - 1526年）：アルクール伯クロード・ド・リウーと結婚。
ギヨンヌ（1524年 - 1567年）：ラヴァル女伯。
クローディーヌ（生没年不詳）：ダンデロ卿フランソワ・ド・コリニーと結婚。
ギー19世・ド・ラヴァル（1555年 - 1586年）：ラヴァル伯。
ギー20世・ド・ラヴァル（1585年 - 1605年）：ラヴァル伯。
* アンヌ（1505年 - 1554年）：トゥアール子爵フランソワ・ド・ラ・トレモイユと結婚し、ラ・トレモイユ家へと繋がりました。

シャルロットの生涯は、政略結婚や王位継承といった複雑な歴史的背景と、一人の女性としての短いながらも重要な役割を物語っています。彼女の子孫が主張したナポリ王位継承権は、後の歴史における重要な要素となりました。彼女の物語は、当時のヨーロッパにおける貴族社会の複雑な関係性と、王位を巡る争いを鮮やかに描いています。シャルロット・ダラゴン＝ナプルは、歴史の中で忘れられがちな存在ではありますが、その血筋と行動は、後世に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

彼女の人生は、政治的な駆け引き、家族の絆、そして一人の女性としての運命が複雑に絡み合った、波乱に満ちたものでした。彼女の生涯は、当時のヨーロッパ社会の光と影を映し出す鏡であり、歴史を学ぶ上で重要な手がかりを与えてくれます。

参考文献：
Walsby, Malcolm (2007). The Counts of Laval. Ashgate Publishing Company. ISBN 9780754658115

もう一度検索