シャンペン・シャワー

かわみなみによる日本のサッカー漫画。1983年から1986年まで『LaLa』(白泉社)にて連載された。南米の架空の国エスペランサを舞台に、若きサッカー選手たちの成長と友情を描いた作品。

概要

物語は、エスペランサの首都ヴィトーリオにあるサッカークラブ「FCヴィトーリオ」に、アドルという名の若者が入団するところから始まる。アドルは、チームメイトのジョゼや、ライバルクラブ「サルバドールFC」のマルロ、アンドレらとの交流を通して、プロのサッカー選手として、そして人間として成長していく。

作者のかわみなみは、自身もサッカーファンであり、海外サッカー事情に精通していた。そのため、作中に登場する人物の多くは、当時の実在の選手をモデルにしている。例えば、FCヴィトーリオは当時のブラジル代表、ディッコはジーコがモデルである。また、サルバドールFCはイタリア代表、FCジェロムは西ドイツ代表をイメージしている。

しかし、キャラクターの性格設定は、モデルとなった選手たちとは異なり、独自の味付けがされている。少女漫画という媒体でありながら、当時日本には存在しなかったプロサッカーリーグを舞台にした作品が連載できた理由について、作者は明確な理由は思い当たらないとしつつも、自身が日頃からサッカーの話題に触れていたことや、『キャプテン翼』の影響などを挙げている。

作品は、サッカー界のシリアスな側面を描きつつも、当時の読者層に合わせて、コメディーやギャグを多く取り入れている。同時期に少年誌で連載されていた『キャプテン翼』の影響でサッカー人気が高まっていたものの、少女漫画であるため、試合の描写は控えめに、代わりに「秘技」と呼ばれるギャグを盛り込むなど、サッカーに詳しくない読者でも楽しめる工夫が凝らされている。また、登場人物間のボーイズラブ的な関係性を匂わせつつ、次のコマではそれをギャグとして打ち消す演出も特徴的である。

連載終了後には、『ダイヤモンド・ガイ』というスピンオフ作品が発表された。この作品では、マルロとアンドレの若き日の姿や、サッカー界の裏事情などが描かれている。

ストーリー

エスペランサリーグに所属するFCヴィトーリオは、新戦力としてジャングルの奥地からアドルをスカウトする。当初はプロ選手としての生活に戸惑うアドルだったが、持ち前の素直さでチームに馴染んでいく。チームはアドル加入後、快進撃を続け、優勝を争うまでになる。

一方、ライバルチームのサルバドールは低迷し、マルロはチームを救うために奔走する。最終的に、ヴィトーリオがリーグ優勝を飾り、マルロはチームを放出されることになるが、自身の市場価値を高めることに成功し、ヴィトーリオへの移籍を果たす。

15年後、ジョゼ、マルロ、アンドレは引退し、新たな人生を歩んでいた。アドルはベテラン選手として活躍を続け、物語は幕を閉じる。

主な登場人物

アドル (アドリアン・アレクシス): 本作の主人公。FCヴィトーリオ所属のフォワード。ジャングル出身で、天真爛漫な性格。
ジョゼ・オスカル・ベルナルド: FCヴィトーリオ所属のディフェンダー。無口で無表情だが、奇妙な行動が多い。
ディッコ: FCヴィトーリオのキャプテン。優れた技術とリーダーシップでチームを牽引する。
マルロ・タリオーニ: サルバドールFC所属のミッドフィールダー。勝利のためには手段を選ばない。
アンドレ・ガブリエル・クレモン: サルバドールFC所属のディフェンダー。マルロの相棒的存在。

書誌情報

かわみなみ『シャンペン・シャワー』白泉社〈花とゆめCOMICS〉、全6巻
かわみなみ『シャンペン・シャワー』白泉社〈白泉社文庫〉、全3巻
かわみなみ『ダイヤモンド・ガイ』白泉社〈白泉社文庫〉、全1巻

イメージアルバム

ワーナーパイオニアのイメージカプセルシリーズから1986年 10月25日発売。

収録曲

KICK OFF BOY（歌：佐久間レイ）
告白〜愛しのジョゼ（歌：笠原弘子）
タンゴ・デ・グレタマルロ（歌：戸田恵子）
ファイター
スーパー・エスペランサ・ブラザーズ〜魔境の激闘
背中が泣いている（歌：戸田恵子）
組曲“大特訓”
My Honesty Love（歌：佐久間レイ）
BIG GAME〜ゴールをめざせ
* BANZAI! シャンペン・シャワー〜We Are The Kick off Boys（歌：六本木これっきりコーラス隊）

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