シャーラック

シャーラック：ベルモントステークスを制した伝説のサラブレッド

1958年生まれのアメリカ合衆国産サラブレッド競走馬、シャーラック。その名は、1961年のベルモントステークスにおける大金星によって、サラブレッドの歴史に刻み込まれることになりました。当時、三冠達成目前だった強豪キャリーバックを破り、競馬史上に名を残す一大センセーションを巻き起こしたのです。

誕生と初期のキャリア

マリー・エリザベス・ラン牧場で生まれたシャーラックは、イギリスから輸入されたダンテ産駒を母に持ち、父は1953年のブルーグラスステークス優勝馬という良血を受け継いでいました。ジェイコブ・シャーの所有のもと、ハロルド・ヤング調教師の指導の下、1960年、2歳シーズンにデビュー。しかし、2歳時は目立った成績を残せず、ピムリコフューチュリティで3着に入った程度でした。

クラシック路線への挑戦とベルモントステークスの奇跡

3歳になったシャーラックは、ブラウリオ・バエザ騎乗でブルーグラスステークスを制覇し、初勝利を挙げます。この勝利が、ケンタッキーダービーへの切符となりました。しかし、ケンタッキーダービーではキャリーバックに敗れ5着。続くプリークネスステークスでもキャリーバックの5着と、クラシック二冠を制覇するキャリーバックの前に屈することになります。

そして迎えたクラシック最終戦、ベルモントステークス。三冠を懸けたキャリーバックの挑戦に、5万人を超える観客が詰めかけました。シャーラックは、単勝66倍という大穴扱い。しかし、レースでは先行するグローブマスターの直後につけ、最後の直線で鮮やかに追い抜き、2馬身4分の1差をつけて優勝を飾ります。これは、キャリーバックにとって三冠挑戦馬としての最低着順（7着）という結果にも繋がり、「史上最大の番狂わせ」と騒がれました。

キャリーバックの敗因としては、レース後の炎症や距離への不安などが挙げられていますが、シャーラックの勝利がまぐれではなかったことは、後のレースで証明されます。キーンランド競馬場と似た馬場状態のベルモントパーク、そしてバエザ騎手との抜群の相性などが勝利の要因として挙げられます。

キャリーバックとの再戦と晩年

ベルモントステークス以降は勝ち星から遠ざかり、ジェロームハンデキャップでは再びキャリーバックに敗れますが、10月のローレンスリアライゼーションステークスでキャリーバックとの再戦を果たし、再び勝利。ベルモントステークスの勝利が実力によるものだったことを証明しました。同年は、ローマーハンデキャップも制覇しています。

引退後は種牡馬となりましたが、大きな成功を収めることなく、1970年にフランスへ、1975年にはデンマークへと輸出されました。その後については、詳しい記録が残されていません。

シャーラックという存在

シャーラックは、単なる競走馬以上の存在でした。その劇的な勝利は、競馬ファンの記憶に深く刻まれ、今も語り継がれる伝説となっています。三冠馬を破ったその勇姿は、幾多のサラブレッドの中でも際立った輝きを放ち続けています。その短いながらもドラマティックな生涯は、競馬史に燦然と輝く一ページとして永遠に残り続けるでしょう。

主要な勝ち鞍

1961年：ブルーグラスステークス、ベルモントステークス、ローレンスリアライゼーションステークス、ローマーハンデキャップ

参考文献

The History of Thoroughbred Racing in America (1964) William H. P. Robertson
* Thoroughbred Champions: Top 100 Racehorses of the 20th Century (1999) ブラッドホース編集部

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